正しい部下の𠮟り方~ハラスメントと言われないために~

正しい部下の𠮟り方~ハラスメントと言われないために~ 労務管理

会社を立ち上げ従業員を雇ったり、チームを任せられ部下を持ったり、後輩ができたりすると、相手を叱る必要があります。
ですが、相手をうまく叱れない人が増えています。
「どうやって従業員を叱ったらいいのかわからない」と言ったお声や、「部下を叱れない従業員がいて困る」というようなお声をいただくことが多くあります。

どの様に叱ったらいいのか?
なぜ叱る必要があるのか?
パワハラにならない叱り方を解説します。

そもそも叱ると怒るとは違う?

「叱る」と「怒る」は混同されがちですが、全く違います。

・叱る

ミスをしてしまった相手の行為や考え方にある問題点や改善点を提示し、
アドバイスをすることで改善・成長を促す行為です。
叱る対象の成長を願い、それを助ける為の行為と言えます。

・怒る

ミスをした相手のミスに対して感情をぶつける行為で、怒りという自分の感情を発散する事しか効果が無く、目的や事実の改善には何もつながらない行為です

「叱る」は相手の為「怒る」は自分の為と表現され、部下を持つようになったら「怒る」のではなく、「叱る」ことを意識しながら接するように意識してください。

してはいけない部下の叱り方

相手を叱る時にはやってはいけないことが7つあります。

・大声や激しい口調で叱る
・大勢の前で叱る
・他人と比較して叱る
・相手の人格・内面を叱る
・過去のことで叱る
・相手の話を聞かず叱る
・長時間叱る
この7つは叱る際に絶対にしてはいけない事です。

・大声や激しい口調で叱る

大声で相手を威圧したり、激しい口調で相手を責めることは、ただ自分の感情をぶつける行為であり
これを「怒る」と言います。
部下を「怒る」ことは何の生産性もなく厳禁です。

相手を怒ってしまうと、自分の行為や考え方を修正する前に、ミスをしたことに委縮してしまい、次から失敗をしないことを第一としたチャレンジできない人間になってしまいます。
更に、自分に対して反感を持ち、良好な関係を築けなくなってしまいます。
そうなると、問題が発生した時に報告が上がりづらくなり、より問題が大きくなってしまったり
コミュニケーションから生まれる業務改善などもできなくなります。

部下を怒り続けていくということは、トラブル防止の観点から見ても、業務イノベーションの観点から見ても何のメリットもありません。

・大勢の人の前で叱る

大勢の人の前で「叱る」ことも厳禁です。
叱っている人は周りが見えていないので気にならないかもしれませんが、叱られている人や周りの人は問題を起こした人間を”吊し上げ”にされているように感じます。
吊し上げられた人は、親しい人やたくさんの人の前で恥ずかしい思いをさせられ、改善の気持ちではなく、反感や委縮してしまいます。
見ている方も、見せしめにしているような感じになるので、ミスをしないことを優先し、新しいことにチャレンジできなくなる傾向になります。

また、この様な事をする上司は大声で「怒る」ことが多いです。
みんなの前で大声で怒ると、パワハラを疑われてしまいます。
大勢の前で叱る事はしないでください。

・他人と比較して叱る

部署内の別の従業員と比較して「叱る」人も度々います。
「○○くんはできているのに、なんで君はできないの?」
みたいな言い方をする人をされた人はいるのではないでしょうか?

この叱り方も、内容を素直に聞くことができずに反感を持ったり、自分の価値を一方的に下げられ、恥をかかされた気になってしまい、素直に話を聞けなくなります。
この様な叱り方もしないでください。

・相手の人格・内面を叱る

仕事の上で「叱る」のは、相手の成長を促すためのものであり、相手の人格や内面は関係がありません。ミスをしてしまった行為を論理的にただし、正しい方向へ導くことが目的なので、人格・内面を叱ることはしないでください。
そもそも、相手の人格を否定する行為はパワハラに当たります。
絶対にしないでください。

・過去のことで叱る

昔の出来事を引き合いに出して叱ることもしないでください。
同じミスを何度も繰り返す場合は、叱り方やそもそも仕事のマニュアルに問題があります。
また、過去の出来事は記憶が曖昧になっており、正しく状況の把握ができない場合もあります。
そうなると、叱られる方と状況の共有ができず、修正がうまいきません。
叱る場合は、できるだけ間をあけず、問題が発生した時に叱るよう心掛けて下さい。

・相手の話を聞かず叱る

ミスなどは発生した時に起こりがちですが、相手の話を聞かず、一方的に決めつけ叱ることもしないようにしてください。
相手を叱る時は、しっかりと事実確認を行い、相手の言い分も聞くようにしましょう。
自分は正しいという考えで対応をすると、相手との信頼関係は崩れ、正しく導くことはできません。

・長時間叱る

長時間叱っていると、叱る内容がぼやけてしまい、相手に正しく伝わらなかったり、感情的になり怒りだしてしまう事につながります。

叱ることの目的は、相手の成長と修正ですので、ポイントを明確にし簡潔に伝える事が大事です。
時間をかけることなく、短く簡潔に叱るようにしましょう

正しい部下の叱り方

部下を叱る時に気を付けなければいけない事は理解できたかと思います。
では、相手を叱る時にはどのような言葉を使えばいいのでしょうか?

部下の能力を信じていることを伝えることができる言葉

叱る前に「君ともあろうものが」や「君ほどの人が一体どうした」というような、部下の能力がもっと高いところにあり、そんな人間が今回はどうした!?
この様な気持ちが乗るような言葉を選んでください。
そうすることで、「自分は期待されている」「自分は評価されている」という気持ちになり
自ら成長と修正を考えられるようになります。

褒める言葉で叱る言葉をはさんで伝える

よく言われることではありますが、部下を一つ叱る時は、二つ褒める事です。

褒める → 叱る → 褒める

この様に叱ることをほめる言葉で挟むことで、聴く部下も内容を素直に受け取ることができ、行動が改善や修正されます。
少々手間と感じる方もいるかもしれませんが、こうすることで相手の行動が劇的に改善され、
組織としてより大きな成果を出すことができるようになります。

モチベーションの管理や部下に気を遣うなんて無駄であるというような主張をする方もいるようですが、こういったことをひとつづくしっかりとすることで、業務効率を高め、かつ訴えられるなどのトラブルを未然に防ぐことができるので、対応をするようにしましょう。

ハラスメントと言われないための注意点

部下を叱る時には、必ずハラスメントの問題がついて回ります。
間違った叱り方をしてしまうと、ハラスメントと言われ、大きな問題につながります。
ハラスメントにならない様、次のことに気を付けましょう。

まず、ハラスメントと言われないためには、「怒る」ことは厳禁です。
もし感情的になりそうな場合は一呼吸し、気持ちを落ち着けるなど、自分の感情をコントロールしてから「叱る」ように心がけて下さい。
「怒る」という行為は、自分の怒りの感情を相手にぶつけること以外、何も生みだしません。
逆に、部下を委縮させ、チャレンジできなくなったり、怒った自分に対して反感を覚え、コミュニケーションがうまくできなくなります。

「怒る」のではなく、先にも挙げた「叱る」ことを意識、怒りの感情を抑え、部下の成長につなげ、成長を促し、導けるようにしましょう。

厚生労働省ではいくつかのツールを公開しています。
こういったものも利用し、波乱素面とと言われない様注意してください。

リンク:厚生労働省「あかるい職場応援団」

最後に

部下や社員を叱るのは本当に難しいことです。
だから、社員を雇ったりはせず、仕事を外注しこういった労務管理を社内でしないようにする会社や、そもそも、「モチベーション管理や叱ることは不要で、さっさと辞めてもらった方がいい」と発言する社長もいます。
間違っているとは言えない考え方ですが、組織で効率的に多くの利益を出す場合は
やはり、従業員がいた方が大きな利益を出せます。

ハラスメントに気を付けながら、部下の成長を促し、導かなければいけないので、とても難易度が高いものだと思いますが、これからのリーダーや組織の長には絶対に必要な能力です。
ぜひ、「叱る」能力を磨き、身につけられるようにしてください。

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