2025年10月施行の改正社労士法にて社会保険労務士の業務として正式に明記されるようになる
「労務監査」ですが、「労務監査」とは何なのか?
どのような必要性があるのかを担当する社会保険労務士が解説します。

労務監査とは?
労務監査とは、企業の人事・労務に関する取り組みが労働関係法令に適合しているかどうかを
社会保険労務士が書類や運用実績をもとに点検・評価する業務です。
チェック対象の例:
・雇用契約や就業規則の整備状況
・勤怠・残業・休日管理の実態
・賃金や割増賃金の支払状況
・社会保険・労働保険の適用漏れ
・ハラスメント防止措置、安全衛生体制の構築
・労働時間制度や36協定の適正運用 など
このような、チェックリストに照らし合わせて問題点を確認します。
万が一問題がある場合、改善提案やリスク回避のアドバイスも行います。
会計監査と労務監査の違い
よく知られている会計監査と労務監査にはいろいろな違いがあります。
項目 | 会計監査 | 労務監査 |
---|---|---|
対象 | 財務・帳簿 | 労務・人事制度 |
担当士業 | 公認会計士 | 社会保険労務士 |
法的義務 | 大企業は義務 | 任意 |
成果物 | 監査報告書 | 労務監査報告書 |
活用場面 | 決算、上場、融資 | 労基署対応、M&A、認証取得など |
会計監査の活用場面
・上場企業や大企業における法定義務
・株主や金融機関等利害関係者への説明責任
・IPO準備や決算書の信頼性確保
・財務リスク(粉飾、横領等)のチェック
労務監査の活用場面
・労働基準監督署対応・コンプライアンス体制の強化
・M&Aや事業継承時の労務デューデリジェンス
・働き方改革・ハラスメント対策の実効性チェック
・労働環境の改善や人的資本経営の基盤整備
・認証制度(えるぼし・ユースエール等)取得支援
簡単にまとめると”お金”の監査が会計監査、”人”の監査が労務監査となっており
どちらも企業が健全に成長していくためには不可欠なものです。
企業が労務監査を受けるメリット
法令違反の「予防」ができる
労働基準監督署の調査や是正勧告が入る前に、自社の労務リスクを把握・是正できます。
調査や是正勧告が入ると、期日を区切られ急いで会社内のルールや運用方法を見直す必要がでます。
無理をして運用を変えようとすると、その運用を持続することができなかったり
より大きな問題を起こす原因になってしまいます。
そうならないよう、しっかりと予防することが大事です!!
社内整備の「きっかけ」になる
忙しい日常業務の中で後回しにされがちな労務体制の見直しが促進されます。
社内の労務体制を改善できなければ、ブラック企業という悪名を会社がおってしまいかねません。
それだけでなく、従業員からの不満が爆発したり、大量な退職者を出したりしてしまいます。
そうならないように労務体制の見直しは必要ですが
忙しい日常業務により後ろに追いやられてしまいます。
そうならないためにきっかけとして行うことも有用です。
外部に対する「信用力アップ」
M&A、融資、認証制度取得(えるぼし、ユースエール等)時に、監査報告書を活用できます。
第三者の客観的な意見を取りまとめ、会社としての価値を明確に表すことができます。
財務だけでなく、人事関係の観点からみても問題が無いことが明らかであれば
企業価値をより高めることも可能です!
トラブルの「未然防止」に
未払い賃金やハラスメント等のリスクを早期に把握し、従業員との信頼関係構築にもつながる。
昨今、労働トラブルが当たり前になってきました。
従業員から急に未払い賃金の請求をされたり、不満をぶつけられたりしないよう
しっかりと未然に防止することが必要になってきたといえます。
そのための手助けとして労務監査を活用することもお勧めできます!
こんな会社さまにお勧めします!
・労働基準監督署の調査が不安な会社さま
・社内規程や労務管理を整備したいとお考えの会社さま
・取引先・金融機関からの信頼性を高めた会社さま
・働き方改革や人的資本経営に対応したい会社さま
・M&Aや事業継承の準備をしたい会社さま
このように会社の価値をより高めたり、従業員からの不満解決、さらに労働基準監督署等からの突然の是正勧告を受けないための準備をしたいとお考えの会社さまにはおすすめします!
社労士による「労務監査」はここが違う!
社会保険労務士は常日頃から労働関係法令に関する対応や従業員の不満や異例なシチュエーション
に対する対応を行っており、実務経験を豊富に持っています。
そのため、単なるチェックリストによる点検ではなく、実態に即した診断と実現可能な改善提案を
行うことができます。
さらに希望の会社さまには、問題が見つかった就業規則の見直しや労務管理体制の再構築まで
ワンストップでサポートすることができるため、自分たちで行うよりもより問題解決に近づけます!
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※この記事は、2025年10月施行予定の社労士法改正内容をもとに作成しています。
最新の制度情報も併せてご相談ください。
リンク:厚生労働省_確かめよう労働条件
リンク:全国社会保険労務士連合会_労務管理の相談指導業務