社労士が解説する「就業規則変更の手続き」~手順と注意点~

社労士が解説する「就業規則変更の手続き」~手順と注意点~ 就業規則

就業規則の変更が必要になったことはありませんか?
就業規則は会社のルールを定めたもので、一般的には毎年見直しをし、3年に一度程度、大きく変更をする必要があります。
そんな就業規則変更の方法と手順を解説します。

正しく変更をしなければ変更が無効とされることもあるので、しっかりと手順を確認して下さい。

就業規則の変更手順

就業規則変更に必要な手順は次の4つです。

1.就業規則の改正案を作成し、労働者代表の意見を聴きながら調整する。
2.労働者代表の意見書、就業規則変更届、就業規則の規程一式を作成する。
3.管轄労働基準監督署へ規程一式、変更届、労働者代表の意見書を提出する。
4.提出した規程一式を労働者が誰でも確認できる所へ掲示するなどし、周知する。


以上となります。

手順を簡単に解説します。

就業規則の改正案を作成し、労働者代表の意見を聴きながら調整する。

法律が改正された、会社のルールが変わったなどの時に就業規則変更の必要があります。
法律や今の会社のルールに沿った条文を作成します。
その際、今の職場にあるルールをすっかりと就業規則に落とし込めるよう、従業員の意見も聞き、作成するように心がけて下さい。
就業規則の変更には、労働者代表の意見を聴く必要があり、変更のないようによっては、労働者代表を含めた従業員の同意が無いと、就業規則変更が無効になってしまいます。
この後、労働者代表の意見書の作成が必要になるため、スムーズに意見書を作成するためにも就業規則作成には、従業員の意見を取り入れ、協力してもらうことが必要になります。

労働者代表の意見書、就業規則変更届、就業規則の規程一式を作成する。

作成した就業規則の案をまとめ、規程一式を作成します。
本則や賃金規程、アルバイト規程等すべての規程をまとめて就業規則と言います。
この一式を規程一式とします。
これに、提出のための変更届と、労働者代表の意見書を併せて作成します。

ここで労働者代表者の意見書を作成しますが、ここでいる労働者代表には選出のルールがあります。
まず、管理監督者は代表にはなれません。
そして、代表者を選ぶことを公表し、挙手や話し合いなど公平な方法で選ぶ必要があります。
絶対にしてはならないことは、会社が代表者を選ぶことです。
会社が指名すると、そもそも代表者として認められず、書類すべてが無効とされかねません。
しっかりとルールに沿って代表者を選び、書類を作成してください。

管轄労働基準監督署へ規程一式、変更届、労働者代表の意見書を提出する。

書類が完成したら、会社の従者を管轄する労働基準監督署へ提出します。
作成までの時間は、遅滞なく提出するとなっています。
”遅滞なく”とは「事情の許す限り早く」ということなので、完成したら早めに提出してください。
提出し、受領印が押された日がルール上、提出した日となります。

管轄の労働基準監督署はこちらから確認できます。
(リンク先:厚生労働省 全国労働基準監督署の所在案内)

提出した規程一式を労働者が誰でも確認できる所へ掲示するなどし、周知する。

提出が完了したら、すべての従業員が確認できるよう掲示する、引き出しなどに保管する、だれでも許可なく確認できるPCなどに保存し、周知しましょう。

この周知ができていないと、就業規則の変更は認められず無効となります。
さらに周知義務違反として30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
                           (労働基準法120条)
しっかりと、提出・周知をしてください。

就業規則変更での注意点

就業規則の変更で気を付けるべき点は2つです。

1つ目は労働者代表をただしく選出する事です。
特に、会社が一方的に労働者代表を指名することは厳禁です。
書類自体が無効となったり、6ヵ月以下の懲役または30万円以下のの罰金(労働基準法119条)になってしまう可能性があります。
そのようなことにならない様、代表者を選ぶときには気を付けて下さい。

2つ目は不利益変更です。
就業規則は労働契約書の意味合いも兼ねています。
就業規則を変更する事でも労働条件を変更する事はできますが、一方的に労働条件を変更し、労働条件を引き下げる場合は、合理的な理由が必要であり、それが無ければ、従業員の合意が必須になります。

しっかりと従業員の意見や合意を得て、納得のいく形での変更を心がけて下さい。

最後に

就業規則は、作成が義務付けられていますが、それ以上に会社を正しく運営するには必須なものです。
更に、法律が一定期間ごとに変更され、会社が対応を求められるものです。

就業規則の変更は必要な事であり、対応をしなければいけないものですので、その手順をしっかりと理解いただき、トラブルが起きないよう、対応をしてください。

もし、手続きなどで不明点があれば、こちらからお問い合わせください。

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