どこまでが労働時間なのか?~社労士が解説する労働時間~

どこまでが労働時間なのか?~社労士が解説する労働時間~ ブログ

2024年問題などで時間外労働の上限が制限されました。
労働時間を正しく把握し、法定の労働時間を超える時間が一定時間を超えると
罰則を受けたり、割増賃金による金額負担の増加などが発生しました。
これに伴い、会社でルールを守るためにご相談をいただくことも多くなりましたが
多くの方が「どこまでが労働時間なのかわからない」と言われます。

労働時間を正しく理解できなければ、労働時間を減らしたり
正しく管理することはできません。

今回は、どこまでが労働時間になるのかを労働の専門家である
社会保険労務士が解説します。

労働時間とは?

「労働時間」という字面だけ見ると「労働している時間」というようになります。
ですが、これは法律用語ではなく一般的な意味合いになります。

法律、特に労働基準法では、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことと言われ、労働者が使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間や、使用者の明示または黙示の指示に
基づき、参加等が事実上強制されている時間となっています。

さらに、これらは就業規則等の規程に左右されず、客観的に見て労働者の行為が
使用者から義務付けられたものと言えるか等により個別具体的に判断される移動時間が労働時間
とみなされる物もあるとなっています。

簡単に解説すると、会社が従業員に強制する時間は全て労働時間になります。

どれが労働時間と言われる?

ケース1 【始業時間前のあれこれ】

8時30分から始業の会社で8時から掃除、8時15分から朝礼をする場合の「掃除」や「朝礼」は
労働時間になるのかと相談されます。
よく話題に上がりますが、これは迷うことなく「労働時間」となります。
もちろん、参加が自由で何のペナルティもなく、一個人が自由にやっているのであれば
「労働時間にならない」こともありますが、普通に運営していると「労働時間になります。」

ケース2 【業務時間内の移動時間】

建設業などでよくありますが、1日で複数の現場で業務を行う場合
現場Aから現場Bに移動する時間などは、労働時間になるのでしょうか?

こちらは最高裁の判例でもありますが
基本的には労働時間になります。
現場Aから現場Bに向かう経路は自由かもしれませんが
到着時間が決められている場合、自由に使える時間とは言えません
そのため、この時間は労働時間だといわれます。

ケース3 【始業前の集合】

朝、現場が遠く作業場所などで一回集合し、全員で向かう場合
朝の集合から労働時間になるのでしょうか?

このパターンは判断が難しくなっています。
朝の集合が会社の指示で、必ず従わなければいけない場合は労働時間と言われます。
そうではなく、朝の集合が自由で基本現場集合の場合は労働時間では無いと判断されます。

このケースはかなり複雑ですので、悩んでいる場合は是非ご相談ください!!

労働時間の判断を間違えると大変な事に!?

最初にご案内しましたが、法律が改正され法定労働時間を超えて労働できる時間に
制限がされました。
制限があるということは制限を超えると罰則があるということです。
さらに、長時間労働は従業員の心身にダメージを蓄積させ
大きな事故が起きてしまい、損害賠償が発生したりもします。


正しく労働時間を把握しなければ、ルールを守ることも
会社を損害から守るためにも、労働時間の正しい理解が必要になります。

そのような事にならない様、じっかりと労働時間についての理解を深めましょう。

最後に

毎年、労働関係の法律が改正され、労務管理が難しくなってきています。
さらに、人手不足が深刻化し、昔のような労働条件では人が集まらなくなり
事業の継続が難しくなってしまっています。

労働時間の管理は全ての労務管理の基礎となります。
間違えない様、そして大きなトラブルにならない様にしっかりと準備をし
これからの時代の労務管理に適用していきましょう。

リンク:厚生労働省_労働時間・休日
リンク:厚生労働省_時間外労働の上限規制
リンク:厚生労働省_時間外労働の限度に関する基準

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