最低賃金に違反しない為の計算方法~社労士が解説する最低賃金~

最低賃金に違反しない為の計算方法~社労士が解説する最低賃金~ ブログ

毎年10月に最低賃金が変更されます。
最低賃金とは、会社が従業員に対して支払う給与の最低額で
各都道府県ごとに時給換算で決められています。
2023年も10月に最低賃金が変更され、初めて全国平均1,000円を超えたと
ニュースになっていました。

時給で定められている最低賃金ですが、月給で給料が決まっている従業員が最低賃金以上になっているかの確認方法は分かりますか?
間違っていると法律違反になってしまい、かつ遡って差額を支払うことになってしまいかねません。

2023年10月に変更したばかりの最低賃金にしっかり対応できているか
間違っていないか確認できるよう、専門家である社会保険労務士が
最低賃金以上かの確認方法を解説します。

最低賃金法

最低賃金以上かの確認方法

最低賃金かどうかの確認方法は、毎月支払っている給与を時給換算し
その金額が会社のある都道府県の最低賃金を上回っているかを
比較確認することで、最低賃金以上かを確認できます。

給与の時給換算方法は次のようになります。

時間給制の場合

時間給がそのまま最低賃金と比較するための時間給となります。

日給制の場合

日給を1日の所定労働時間で割ります。
日給10,000円で所定労働時間が8時間の場合
10,000円 ÷ 8時間 = 1,250円
この1,250円が最低賃金以上かを比較するための時間給となります。

月給制の場合

月給を1ヵ月の所定労働時間で割って時間給を出します。
この時に使用する所定労働時間ですが、平均の所定労働時間を使用します。
そうしないと月によって大きく変動してしまい不平等感が出てしまいます。

月給200,000円が平均所定労働時間が160時間の場合
200,000円 ÷ 160時間 = 1,250円
この1,250円が最低賃金以上かを比較するための時間給となります。

出来高制や請負の場合

契約で決められた金額を契約の期間内で働いた労働時間で割って出します。
契約金額が150,000円で2週間後の納期の内60時間働いた場合
150,000円 ÷ 60時間 = 2,500円
この2,500円が最低賃金以上かを比較するための時間給となります。
この請負制等の場合、従業員ではなく業務委託している会社などの場合は
給与ではないので最低賃金が関係なくなります。

しかし、契約書上は請負や委託になっていたとしても
実際は従業員と同じように仕事をさせている場合は、これに当てはめられません。
SNSなどで「保険料を下げ、会社の経費も削減できる方法」などと
発信している人もいますが、現実はそんなに簡単ではありません。
従業員性を認められてしまうと、遡っての保険加入や行政指導などにつながります。
くれぐれも気を付けて下さい。


さらに注意点があり、最低賃金を計算する時の給与には手当を含みます
たとえば資格手当や役職手当などは計算に含められますが
たとえば、通勤手当や家族手当等は最低賃金の計算には含めることができません。
さらに除外する金額として次の物も除外されます。
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・賞与
・残業代
・休日労働の割増賃金
・深夜割増賃金

これらの手当は最低賃金の計算から除外されてしまいます。
いくらこれらの物を支払っていても最低賃金を下回ってしまう事もあります。
注意してください。

まとめ

最低賃金は毎年変更されていて注意が必要な事柄です。
しかも、ニュースなどでよく取り上げられ、間違えてしまったら
労働基準監督から是正勧告を受け差額を支払うことになってしまいます。
加えて、毎月労働基準監督署へ報告が必要になるなど
以上に大変になってしまいます。

そんなことにならないよう、最低賃金を下回らないようにしっかりと確認して、従業員を雇用し、会社運営を行ってください。

お問い合わせはこちらから
リンク:厚生労働省_最低賃金制度の概要
リンク:厚生労働省_最低賃金の対象となる賃金
リンク:厚生労働書_最低賃金以上かどうかを確認する方法

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