社会保険労務士が教える”正しい”就業規則の作り方

社会保険労務士が教える”正しい”就業規則の作り方 就業規則

ここでは、就業規則の作り方を順に説明していきます。
就業規則は会社によって規定するものが違ってくるもので、オーダーメイドが基本です。
ここに書かれている通りに作成してしても、会社にあったものにはならないと思いますので作成の
参考にしていたければ幸いです。
なにか疑問があればお気軽にお問い合わせください。

就業規則の必要性

コロナウイルスの影響により急激な変化が起きています。
これまでは普通ではなかったテレワーク
大企業まで終了してしまった終身雇用
正社員から派遣やアルバイトへの変更
様々なことが人事労務の世界にも起こっています。

このような変化に対応する時に、就業規則は無くてはならないものです。
あった方がいいではなく、法律上契約上なくてはならないものであり
もし就業規則が無かった場合、会社の考えに反して異動させられなかったり
出勤停止ができなかったり、不必要な経費が請求されたり
と様々な不都合が出ます。

従業員と会社は契約によって縛られており、契約があるから会社で働かせることができます。
契約に書かれていないことは強要できませんが、一人ひとりの従業員にしっかりとした契約を結ぶのは会社が異常な負担を負うことになります。

そんなことにならないよう、自分の会社で勤務する従業員に共通するルールを決め
それを、まとめて契約するために必要な物が就業規則です。

就業規則が無いということは、契約が無いのと同じことです。
会社が命令できることが異常に制限されたり、従業員の権利がより大きいものになったりします。
そのようなことが起きないよう、しっかりと会社の現状に沿った就業規則の作成が必須です。

★就業規則とは?

 就業規則は、労働基準法で10人以上(事業所ごと、アルバイトを含む)の従業員を雇う時
作成が義務づけらる、会社で働く人のためのルールブックのようなものです。
また、労働契約時に就業規則内の事項を明示することで労働条件の明示をすることもできます。
従業員との契約の際、一人一人と細かな契約をするのは手間のかかることだし
全員にそろった条件で働いてもらう為、全体の労働条件を規定してそれを明示するといった契約をしている会社も多いのではないでしょうか?
この様に、働くルールである労働契約の内容を規定するものであるため、とても大事なものです。
また、先に書いたトラブルが発生した時は就業規則がしっかりとルールにそって作られているか?内容は法律に沿っているか?などまで確認され会社の日頃の意識まで問われてしまうのでしっかりとした、会社に合ったものを作成しなければなりません。

★就業規則の作成ルール

 就業規則は、常時10人以上の従業員を雇っている会社に作成と届出の義務があります。(労働基準法89条)この“常時10人以上”かどうかは“事業場”ごとに判断され、支店、工場など複数の事業所がある会社は各事業所ごとに、所轄の労働基準監督署へ届出が必要となっています。
また、就業規則は働いている全従業員に適用されるので、パートタイマーなど労働条件が違う従業員には別の規定・届出が必要となっています。

・必ず規定しなければならないこと
就業規則は、職場のルールを規定するものなので基本的に会社が自由に決められますが
それでも、なんでも自由に決め、作れるわけではありません。
就業規則に入れなければいけないことがあります。
それが、“絶対的記載事項”“相対的記載事項”となります。
この2つが欠けた就業規則は会社が法律上の責任を果たしたことにはならず
トラブルの際に不利になる可能性もあります。

≪絶対的記載事項≫
・始業、就業の時刻、休憩時間、休日、休憩ならびに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる
 場合においては終業時転換に関する事項
・賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期ならび
 に昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む)

≪相対的記載事項≫
・退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法ならびに退職手当の
 支払いの時期に関する事項
・臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額に関する事項
・労働者の食費、作業用品その他を負担させる場合に関する事項
・安全および衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰及び制裁の種類、程度に関する事項
・前各号のほか、事業場の労働者の全てに適用される定めに関する事項

★作った就業規則の届出

 就業規則は作っただけではダメで、いくつかやらなければならないことがあります。
1.「意見書」を労働者の代表に書いてもらう。
 ※労働者の代表とは、過半数の従業員で組織されている労働組合か
  労働者の過半数を代表する人のことです。

2.作った就業規則に“1”で書いてもらった「意見書」と「就業規則(変更)届」をつけ
  所轄労働基準監督署
に提出する。

3.作った就業規則を見やすい場所に掲示するなどの方法をとって、全従業員に周知をする。

以上のことをすることで初めて、就業規則は効力を得ます。
作った就業規則を会社の金庫に入れてしまっている社長にお会いしたことがあります
それではトラブルにあった場合対応できなくなる可能性があります。
かならず、正しい手続きを行ってください。

タイトルとURLをコピーしました