月額変更(随時改定)のやり方~社会保険労務士が解説する社会保険の諸届~

月額変更(随時改定)のやり方~社会保険労務士が解説する社会保険の諸届~ 手続関係

月額変更という手続きはご存じでしょうか?
社会保険の諸届の一つで、簡単に言うと社会保険の保険料計算の基礎を変更する手続きです。
この手続きをすることで、従業員さんが負担する保険料と会社が負担する保険料の変更になったり
将来貰う年金金額が変わったり、仕事外の病気やケガで働けなくなった時に支給される
傷病手当金の金額が変更になったりするものです。

もし、手続きを忘れてしまうと、年金事務所の調査などで指摘され
遡って訂正、保険料をまとめて支払うことになります。
それだけでなく、従業員さんの将来の年金金額が減るなどの不利益が発生するだけでなく
従業員さんからの信頼もなくなってしまいます。


そんなことにならない様、しっかりとルールを理解し
間違いないように手続きをしましょう。
今回は、月額変更のやり方やルールを解説します。

月額変更とは

月額変更とは、従業員の標準報酬月額を変更する手続きのことを言います。
標準報酬月額というのは、社会保険料の計算をしやすくするため、従業員の毎月の給与などの
報酬を一定の範囲ごとに区分して決めた月額のことを言います。

例えば、報酬が月給¥290,000~¥310,000まで従業員の標準報酬月額は¥300,000となり
健康保険料はこの10%、年金保険料は18.3%分となり、その保険料を会社と従業員で折半します。

標準報酬月額が¥300,000の人の保険料は
健康保険料が¥30,000(従業員負担額¥15,000)
年金保険料が¥54,900(従業員負担額¥27,450)

この様になります。

給与が上がったり下がった場合は標準報酬月額を変更することで
支払う保険料の改定をします。

月額変更(随時改定)のルール

標準報酬月額の変更は大きく分けると2つあり、一つ目が定時決定二つ目が随時改定です。
定時改定は、毎年7月1日から7月10日までに行う手続きで”算定基礎”と言います。
もう一つが随時改定で給与に変動があった時に行う手続きです。
定時決定は、時期になると年金事務所から封書が届き
その書類に沿って手続きすれば問題ありません。
しかし、随時改定はそういった案内は無く、会社でしっかり判断し、手続きする必要があります。

まず月額変更(随時改定)をする場合は、次の全ての条件を達成する必要があります。
・昇給・降給により固定的賃金に変動があった(手当含む)
・変動月から3ヵ月間の報酬の平均額が現在の等級と2等級以上の差がある
・3ヵ月とも出勤日数が17日以上ある。


短時間労働者であったり、残業の関係で昇給したのに等級が下がる場合など
例外などもありますが、基本のルールはこの3点です。

月額変更(随時改定)の手続き方法

手続の書類は、健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届という書類になります。
こちらの書類に3ヵ月分の報酬を記載し、管轄の日本年金機構 広域事務センターへ郵送することで手続き完了となります。

手続き自体は難しくなく、提出も郵送で完了できます。
難しいのは、ルールの把握と対象者を見逃さない事の方が難しいです。
普段から、しっかりと管理し、確認しましょう。

最後に

月額変更(随時改定)は決して珍しい手続きではありません。
どの会社でも、どの従業員でも対象になります。

私も経験が浅い時には見逃し、理解できていない事もありました。
固定的賃金と言うと基本給の変動だけに注目しがちですが
たとえば、引越しや会社の住所変更で交通費が変更になった場合でも

月額変更(随時改定)の対象になります。
細かいルールがわからないと間違って手続きをしたり、忘れてしまいます。
しっかりと理解し、間違いの無い諸届をしましょう。

お問い合わせはこちらから
リンク:日本年金機構_随時改定(月額変更届)
リンク:日本年金機構_随時改定に該当するとき

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