キャリアアップ助成金~社会保険労務士が解説する助成金~

キャリアアップ助成金~社会保険労務士が解説する助成金~ 助成金

近年、労働環境は急速に変化しており、新しい技術やスキルが求められるようになっています。
さらに、人手不足により人員確保が難しい状況になってきています。
そんな中、業務の担い手を集めたい会社と、自分のスキルアップや待遇改善を望む労働者は多いのではないでしょうか?
その両方の望みを満たすことができるのがこの”キャリアアップ助成金”です。
パート・アルバイトで勤務している従業員を正社員として雇用することで、賃金の一部を補填できたり、労働条件を改善することで、助成金が下りたりと、人を集めたり、人を育てたり、正社員にしたりすることを促進することができ、今注目を集めている助成金です。

この記事では、キャリアアップ助成金について解説し、そのメリットや申請方法を専門家である社会保険労務士が解説します。

キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、非正規労働者の企業内のキャリアアップを促進するために雇用保険事業から支給される助成金です。

内容を大きく分けると
非正規社員を正社員とすることで支給される助成金
非正規社員の労働条件など処遇を改善することで支給される助成金
この二つの助成金があります。

どちらも従業員に支給されるものでは無く、対応をした会社に支給されるもので、非正規社員の待遇を改善するのに必要な費用の一部を補助する目的の助成金です。

キャリアアップ助成金を活用するメリットは?

キャリアアップ助成金の一番のメリットは”費用を抑えること”ができることです。
現在、人手不足による賃金インフレが進んできています。
今までは、スーパーのレジ打ちやレストランのアルバイトのように
一般的にスキルを必要としないと考えられている職種の時給は低く抑えられ、最低賃金に近い金額が多かったのですが、近年その時給が上がってきており、しかも時給を上げたにもかかわらず人が集まらない状況になっています。
この状況は、まだ拡大すると考えられていて、さらなる人手不足が予想されています。
そんな中、会社の基幹部分を担う社員の採用にも影響が出るのは明白ですし、人を集める為だけに給与を高く維持し続けるのは難しいでしょう。

この”キャリアアップ助成金”を活用することで、
現在アルバイトとして働いていて、仕事ぶりを理解している人材を正社員として雇用し、人手不足の対策をするのは、最初に考える対策なのではないでしょうか?
この対策をするときに、正社員化し給与が上がってしまうなどのコストを助成金で補えます。

さらに、アルバイトの労働条件の改善をすることで、他社よりも人の確保の際に有利になる事ができ、かつそれにかかった費用を補填されるので、いいことしかありません。

しかも、助成金は借入金ではないので、返済の必要もありません!!

この様に、人手不足の対策として活用すると会社にとって大きなメリットがあり、他社より有利になれる助成金と言えます。

キャリアアップ助成金の申請方法

キャリアアップ助成金は社員の待遇改善をすると勝手に振り込まれるものではありません。
前もって申請をすることで貰えるものです。
しっかりと申請方法を確認いただき、間違えないよう申請しましょう。

まず全体の流れを解説します。

こちらは厚生労働省のHPにて公開されている”キャリアアップ助成金”の申請方法です。
手順としては次の3つのステップが必要になります。

1.キャリアアップ計画の作成・提出

”キャリアアップ助成金”を貰うためには、まず計画を立てる必要があります。
雇用状況は会社によってさまざまで、色々な雇用形態をとっていることがあります。
その状況を整理し、どのような形で非正規社員を正社員にするのかや、処遇改善をするのかを明確にし、労働局長へ提出し、認定をしてもらいます。

2.キャリアアップ計画の実施

計画に沿って正社員化や処遇改善を行います。
この際に、会社のルール変更も必要になるため、就業規則の改定なども必要になります。
計画に沿って改善していきますが、もし計画の変更が必要になった場合は
「キャリアアップ計画変更届」の提出なども必要になります。

3.支給申請

計画に沿って実施することができたら、報告と助成金申請の為に支給申請を行います。
助成金の支給要件を満たすことができていれば、審査後に助成金が支給されます。

これが”キャリアアップ助成金”の申請の流れとなります。

さいごに

キャリアアップ助成金は、人手不足の解消と従業員の待遇改善を狙った助成金で、多くの会社にとってメリットがある助成金です。
もし、人手不足や非正規社員の待遇改善をお考えの場合は活用してみてください。

実は、この”キャリアアップ助成金”は社会保険の加入の為にも注目されています。
106万円の壁や130万円の壁と言った、年収の壁にあたり、社会保険に加入した際、非正規社員の手取りが減ってしまう問題を解決するために活用するよう、拡張された助成金だからです。

もし、2024年10月の社会保険加入拡大でお悩みの会社さんも活用をお考え下さい。

リンク:厚生労働省_キャリアアップ助成金
リンク:社会保険の専門家が解説する「年収の壁」対策案
リンク:106万の壁と130万の壁は超える方が良いのか?

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