会社が作成しなければならない帳簿~社会保険労務士が解説する法定帳簿~

会社が作成しなければならない帳簿~社会保険労務士が解説する法定帳簿~ 未分類

皆様の会社には賃金台帳や出勤簿はありますか?
会社で従業員を雇うと作成・保存しなければならない帳簿が4つできます。
これは”法定帳簿”と言われ、法律で作成・保存が義務付けられている台帳です。

税務の台帳ほど知名度がないからか、しっかりと作成できていない会社さんも多くあります。

今回は、急な労働基準監督署からの調査で困らないように、作成方法や記載事項の解説をします。

法定帳簿とは

商法の会計帳簿や国税法の総勘定元帳など、法律で作成・保存が義務付けられている帳簿のことです。
労働基準法にも作成・保存を義務付けている帳簿が4つあり、これを法定4帳簿と呼びます。

・労働者名簿
・賃金台帳
・出勤簿
・年次有給休暇管理簿


この4つが労働基準法で作成・保存が定められている帳簿となります。
それぞれの帳簿に記載しなければいけない事も多くあり、それが足りないと調査の際に指摘され修正する必要が発生します。

労働者名簿

会社が従業員を雇った際に必ず作成する帳簿です。
労働者名簿に記載しなければいけない事は次の項目です。

・氏名
・生年月日
・性別
・住所
・業務の種類
・履歴
・雇用年月日
・退職年月日(退職事由を含む)
・死亡年月日(原因含む)


この9つを記載しなければならないと定めています。
この中で、履歴の記載を忘れ調査の際に指摘されることが多いように感じます。
どの様に記載するかのフォーマットは決まっていないので、書き方を悩んでしまう会社さんも多いようですが、会社に入社してからの異動や担当業務の遍歴を記載すれば問題ありません。

さらに、入社の経緯や入社時の希望なども残しておけば、今後の配転などにも活用できるので、ご相談された際には、そのようなことも残すようお勧めさせていただいています。

また、保存期間も定められていて、労働者名簿は最終記載日から3年間の保存が義務となっています。
つまり、退職や死亡など理由を問わず、会社からいなく名手から3年間は労働者名簿を保存しなければならないということになります。
退職したらすぐに破棄するという会社さんもあるようですが、保存義務があるので、しっかりと保存してください。

賃金台帳

従業員に給与を支払う度に記載が義務付けられています。
また、以下の項目を記載する必要があります。

・氏名
・性別
・賃金計算期間
・労働日数
・労働時間数
・休日労働時間数
・早出労働時間数
・深夜労働時間数
・基本給・手当の種類とその額
・控除項目とその額


以上となります。
この中だと性別を記載していない台帳が多いように感じます。
氏名と共に記載するだけで指摘事項を減らせるので、忘れずに記載するようにしてください。
「残業代も分からないから書いていない」という会社さんもありましたが、今は、残業時間の正確な把握も会社の義務になっています。
しっかりと把握できるように準備してください。

保存期間は最終記載日から5年間となっており、労働者名簿よりも長くなっています。
ただし、労働基準法では5年間ですが、税金も法律では7年間の保存が必要になるので、実質7年間の保存が必要になります。

出勤簿

これも労働基準法で会社に備え付けを義務付けされている帳簿です。
よくタイムカードを出勤簿としている会社も多いようですが、厳密に言うとこの二つは少し違います。
また、出勤簿にも必ず記載しなければいけない事が定められています。

・各労働者の出勤日と労働日数(出社・退社時刻含む)
・日別の労働時間
・時間外労働があった日付、時刻・時間数
・休日労働があった日付、時刻・時間数
・深夜労働を行った日付、時刻・時間数


以上の項目をしっかりと記載し、かつ最後に記載した日から5年間(当面3年間)の保存が義務となっています。
こちらも調査対象になります。
しっかりと作成・保存をしていないと、罰則まで発生してしまいます。
間違いの無い帳簿作成を心がけて下さい。

年次有給休暇管理簿

この帳簿は最近作成の義務化になった新しい帳簿となっています。
作成・保存が義務になっていることも知らない会社さんも多いようです。
2019年の有給休暇取得義務化の際に併せて法定帳簿に加わった帳簿となります。

記載事項は以下となります。
・基準日(年次有給休暇を付与した日)
・日数(基準日~付与された有給休暇の日数)
・時季(年次有給休暇を取得した日)


また、この帳簿も保存期間があり、最終記載日から3年間の保存が義務付けられています。

この様に4つの帳簿には記載義務や保存期間が定められています。
しっかりと作成・管理・保存をして調査があっても指摘されないようにしましょう。

まとめ

会社を経営していると、やらなければいけない事、しなければいけない事がたくさん発生します。
毎月の帳簿作成・管理もその一つです。
さらに、労災に関する書類や健康診断に関する書類など、たくさんの書類があります。
ミスなく、しっかりと作成・保存をしてください。

また、労働に関する法定帳簿を報酬貰い作成・管理できるのは社会保険労務士だけです。
たまに社労士ではない人間が管理を委託するような営業がありますが、違法であり、線も出ない人に依頼すると、思わぬトラブルにつながります。
そのような人に依頼しない様、気を付けて下さい。

リンク:出雲労働基準監督署_ととのえましょう!法定帳簿
リンク:厚生労働省_事業主の方へ従業員を雇う場合のルールと支援策

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