労働基準法とは、日本で働く時の最低条件を定めた法律で、従業員を雇って働いてもらう時に守らなければいけない条件です。
会社も従業員も協力して守ることと規程されていて、労働条件の最低条件ともいえる法律です。
では、この法律を守らないとどうなるのでしょうか?
従業員が、労働基準監督署や労働局へ通報し、通報をもとにした調査が入ったり、
労働基準監督署の定期調査があり、結果、違反があった場合は修正し、報告を求められます。
ここまでは、よく聞きますが、これで終わらなかったパターンはあまり知られていません。
2023年3月31日に厚生労働省より「労働基準法違反に係る公表事案」が公開されました。
ここに記載されているのは、労働基準監督署や労働局の是正勧告だけで終わらず、送検された事項が載っています。
毎年公表されているもので今回は400社を超える会社が公表されています。
この様に、調査報告でも改善されなかったり、大きなトラブルが起こってしまった時には
「送検」され、司法の場で処分を決められることもあります。
実は、労働基準監督官(労働基準監督署の職員)は大きな権限をもっていて、あらゆる会社に調査に入り、労働基準法が守られているかのチェックをすることができます。
実はこれだけではなく、司法警察官としての権限も与えられていて、
逮捕や強制捜査の権限まで持っています。
これは、経営者の方はとても気に掛けるであろう、税務調査官にもない特別な権限で、会社内の労働条件や労働基準法違反に対してはとても大きな権限を与えられています。
今回の公表事項をみて、専門家として感じたことを解説します。
まず、最も多く送検された事案は”労働安全衛生法”違反に関する事柄です。
”労働安全衛生法”の条文を知っている方は多くないと思います。
簡単に言うと、従業員が安全に働けるように職場の安全を確保するためにいろいろな措置をしたり
作業をするときに安全にできるように指導指示したり、従業員の健康を維持できるように
健康診断に関する条文を定めたりしている法律です。
あまり知られていない法律による「送検」が多いのかというと、職場で労働災害が発生し、この”労働災害”の調査で労働基準監督署が来て発覚していることが見受けられます。
次に多いのが、残業代や給与の未払いに関する事項です。
これは従業員が労働基準監督署や労働局や申し出て調査をされ、発覚したと思われます。
賃金台帳や出勤簿、従業員からの聞き取りで未払賃金があることがわかり
それを支払うことを拒否し続けたり、直すつもりが無いと言っていると「送検」までされます。
他にも長時間労働や、台帳の未作成など色々ありますが、安全衛生に関わるものと、未払賃金に関するもので全体の75%程度となっています。
この様に、何かトラブルが発生すると調査が入り、しっかりと修正や是正ができないと
会社名を公表され、最悪「送検」までされてしまいます。
もし、ここに記載されているようなことに心当たりがある場合は、会社のルールを見直した方が
いいでしょう。
いきなり、労働基準監督署の調査などが来たら、戸惑ってしまうし、会社内のルールを見直す時間もゆっくり職場を適応させていく時間もありません。
日ごろから、法律に沿った職場を作っていきましょう。
リンク:厚生労働省公表_労働基準法違反の公表事案
リンク:厚生労働省_労働条件・職場環境に関するルール