社会保険の専門家が解説する「年収の壁」対策案

社会保険の専門家が解説する「年収の壁」対策案 ブログ

社会保険に加入する人を増やすためにいろいろな案が出てきましたが
2024年から実施予定の政府案が公表されました。
簡単に解説すると…

・助成金によるサポート
・保険料負担軽減目的の基本給の控除


この2つになります。
政府として、現在社会保険に加入していない3号被保険者(家族の扶養内で働いている人)も社会保険に加入し、労働人口を増やし人手不足を解消し、かつ保険料を徴収できる人を増やそうと考えた案なのでしょう。

どの様な対策案なのかを順番に解説します。

そもそも年収の壁とは?

日本にはいくつかの「年収の壁」が存在します。

① 所得税がかかる…103万円の壁
② 社会保険加入が必要になる…106万円の壁
③ 家族の扶養に入れなくなる…130万円の壁
④ 配偶者特別控除がなくなる…201万円の壁


有名な物だけでもこれだけあります。
最近よく話題になる社会保険関係の「年収の壁」は②と③です。

もらった給与が106万円を超えると、社会保険に加入し、健康保険証を社会保険にし、厚生年金に加入する必要が出ます。※一定以上の規模の会社の場合
また、年収が130万円と超えると家族の扶養に入れなくなるため、自分で社会保険や国民健康保険に加入しなければいけなくなります。

この年収を超えたら、受けていた制度や控除を受けられなくなるものを「年収の壁」と言います。

こちらも確認してください。
リンク:106万の壁と130万の壁は超えるほうがいいのか?

「年収の壁」対策案について

「年収の壁」があることで、働く時間や年収を抑えて壁にあたらないよう働く方が多くなっています。
それに対し、政府は多くの方に壁を越えて働いてもらうことで、人手不足を解消したり、社会保険加入者を増やしたいと考えています。
そのための対策としていくつか対策案が出ています。
※まだまだ変わる可能性がありますが2024年7月現在の情報です。

政府は2023年の秋に”支援強化パッケージ”としてまとめて出すともいわれています。
現在発表されている情報のみ確認してください。

助成金によるサポート

社会保険に加入する場合、年収125万円を超えないと、手取りで社会保険加入より下がってしまい、「年収の壁」により働くのを抑えてしまいます。
そうならないように、賃上げなどに取り組み会社に対して助成金を支給する方針です。

今もある「キャリアアップ助成金」の制度を利用し、従業員一人当たり最大50万円の助成金を支給するメニューが追加されるようです。

こちらはあくまで会社に支給し、従業員に直接支払われるものではありませんが、給与を多く支払うことをためらう会社もあるかと思います。
そんな会社さんにも協力してもらうための助成金だと考えられます。

保険料負担軽減目的の基本給の控除

「年収の壁」を超え社会保険に加入すると、従業員も保険料負担が増えます。
これを会社が手当等で支給した場合、保険料を計算する際の金額から引くことができるという案です。

収入を大きく増やす事が難しい会社でも、従業員の社会保険加入を後押しを期待しているようですが、この特例があるから従業員に手当を出そうとする会社さんが多くいるかは疑問です。

最後に

今はまだ情報が出たばかりで、制度として使えるかどうかも分かりません。
順次情報は出てくると思われますので、都度解説をしていきます。
チェックしてみてください。

リンク:yahooニュース_パートが抱える「年収106万絵の壁」
リンク:yahooニュース_ねんしゅうのかべ、130万円超でも扶養可に
リンク:厚生労働省_社会保険適用拡大特設サイト

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