年収の壁・支援強化パッケージについて

年収の壁・支援強化パッケージについて ブログ

2023年10月27日に厚生労働省より「年収の壁・支援強化パッケージ」が公表されました。
人で不足への対策の一環として短時間労働者が社会保険に加入し労働時間を増やせるように
するための施策となっています。

こちらのページでも解説していますが、今の会社で活用できるよう
確認をしてみてください。

年収の壁・支援強化パッケージの概要

主に106万円の壁と130万円の壁への対策となっています。

106万円の壁対策

週30時間以上働いている人は社会保険に加入することになるのですが
一定以上の規模の会社(2023年11月時点では従業員数が101人以上)
では週20時間を超えるなど、いくつかの条件を達成すると
短時間労働者でも社会保険に加入することになります。
社会保険に加入すると、保険料を負担することになるのですが、保険料を負担する事で
毎月入ってくる収入が減ってしまう事になります。
これを懸念し、働く時間を制限することが珍しくありません。

例)
年収106万円の場合(月額88,000円)保険料は年間で144,000円となり
年収が105万円の時よりもかなり年収が減ってしまう。


この様な「働くと収入がさがってしまう」「働くと損をする」と感じることが
無いように国がサポートするための対策となります。

キャリアアップ助成金という助成金を使用し、会社が保険料増加分を手当として支給し
支給した手当分を国が補填するという対応をとります。

従業員に直接支給するわけではないので少々複雑な形になってしまいますが
この助成金を使うことで従業員の負担や会社の負担を削減し、労働力を確保できます。

130万円の壁対策

配偶者の扶養に入り、年金や社会保険に加入している人は多くいるかと思いますが
扶養に入ったまま年収が130万円を超えると、扶養から外れる事になります。
扶養に入ることができない場合、自分で年金保険料や社会保険料を負担することになります。
そうならないように、就業時間を減らすことは当たり前です。

例)
年収130万円の場合(月収110,000円)保険料は年間で192,000円となり
年収が130万円未満の時よりかなり年収が減ってしまいます。


自分で年金に加入することで厚生年金に加入できるため、将来の年金額を増やすことが
できるので、全くの無駄だとは言えませんが、それでもかなりの負担になるので
回避したいと考えるのは当然でしょう。
そうならないよう、一時的に年収が130万円を超えた場合でも会社が証明することで
扶養から外れないように対応することができます。

この特例を使用することで年末に年収を調整することなく働くことができるようになり
人手不足に対応することができるようになります。

一時的な対応になっており、根本の解決にはならないと思いますが
特例を使い一時的に人手不足に対応してみてください。

年収の壁・支援強化パッケージを使う時の注意点

会社の人手不足対策と社会保険の適用拡大の為、有益な施策となります。
しかし、注意点もいくつかあります。
まず、106万円の壁対策である助成金活用には少々複雑な手続きが必要になります。
加えて、一時的な対策となり将来的には従業員本人が保険料を負担することになります。
この理解が無ければ、助成金がなくなった時に従業員が一気に退職する事もありえます。
そうならないよう、しっかりと労務管理が必要になります。
また、会社が追加で支払う手当は保険料算定の基礎には参入しませんので
将来の年金金額への反映などはされない点も注意が必要です。
また、130万円の壁対策は連続して2回までしか対応できません。
恒常的に130万円を超えて働き続けることが可能になるわけではないので、間違えないように
しましょう。

まとめ

人手不足や社会保険に対応するために国から出された施策となり、ニュースなどで
話題になっています。
会社の保険料負担は発生するため、損と判断する会社もあるかもしれません。
しかし、インフレになり徐々に人手不足が加速しつつ今、人員確保は重要な案件で
しっかりと対応することが会社の利益になります。


もし、会社で対応が必要な場合はしっかりと確認いただき、わからない事や
相談が必要な場合は、お問い合わせください。

リンク:厚生労働省_年収の壁・支援強化パッケージ

タイトルとURLをコピーしました