近年、「同一労働同一賃金」への対応は完了し「うちは問題はない!!」
と考えている会社も少なくありません。
しかし実際には、2025年~2026年にかけても対応が継続的に必要だと言われています。
例えば…
・パート、契約社員からの待遇説明要求
・労働基準監督署、労働局による指導
・人材採用時の待遇比較
・物価上昇に対応するための手当見直し
・正社員、非正規社員間の不公平
など、実務上の課題が継続しています。
特に中小企業では、「昔作った制度をそのまま運用している」というケースも多く
現在の運用実態と制度内容がズレていることも少なくありません。
今回は、2026年時点で企業があらためて確認したい「同一労働同一賃金」の実務対応について
労務管理の専門家である社会保険労務士が解説します。

同一労働同一賃金とは?
同一労働同一賃金とは、正社員とパート・契約社員・派遣社員などの非正規雇用労働者との間で、不合理な待遇差を禁止する制度です。
正式には次の法律に対応するための制度になります。
・パートタイム・有期雇用労働法
・労働者派遣法
に基づいて運用されています。
この制度は、雇用形態だけを理由とした不合理な待遇格差の解消や多様な働き方の実現
加えて、人材確保や人材定着を目的とし、運用されています。
「同じ仕事なら同じ賃金」ではない
実務で最も多い誤解がここです。
同一労働同一賃金は「全員を同じ賃金にしなければならない制度」ではありません!!
重要なのは
・職務内容
・責任範囲
・配置変更の範囲
・人材活用の仕組み
・業務内容の違い
このようなことを踏まえて、「待遇差に合理的説明ができるか?」という点になります。
という点です。
つまり、仕事に対する責任が違うために、手当が支給される事は問題にならず
正社員だから手当を支給するという場合には、問題になり得るという事になります。
2026年時点で特に見直しが必要なポイント
各種手当の支給基準
特に問題になりやすいのが各種手当です。
例えば…
・通勤手当
・食事手当
・皆勤手当て
・安全手当
・家族手当
・役職手当
・住宅手当
などについて、「正社員のみ支給」となっている企業は少なくありません。
しかし、同じ目的の業務に従事しているにもかかわらず、
単に「パートだから」という理由で不支給としている場合は問題となる可能性があります。
福利厚生の格差
近年は福利厚生も重要視されています。
例えば…
・更衣室の使用可否
・休憩室の使用可否
・社員食堂の使用可否
・慶弔休暇
・健康診断補助
・福利厚生サービス
福利厚生について、非正規社員のみ利用対象外となっているケースには注意が必要です。
こちらも、単に「パートさんは除外です」となっている場合は問題になり得ます。
③ 賞与の考え方
賞与は
・会社業績への貢献
・業務内容
・責任範囲
などに応じて支給されるケースが多いので、単純に正社員のみに支給していても
これが直ちに違法となるわけではありません。
ただし!
・実際の業務が正社員とほぼ同じ
・長期雇用されている
・責任範囲が正社員と近い
このような状況にもかかわらず、正社員のみに支給し、非正規社員には支給しないなど
説明ができない状態は非常にリスクがあります。
説明義務への対応
企業は、非正規社員から待遇差に関して説明を求められた場合
その待遇差の内容や理由について説明する義務があります。
近年は特に、「なぜ自分には手当が無いのか?」という相談・トラブルが増えています。
そのため次の各号に規定されている事柄の整理が必要になっています。
・賃金制度
・等級制度
・職務定義
・雇用区分
整理するために、契約書をしっかりと作成したり、規程を整備する必要性が高まっています。
中小企業でよくある危険な状態
「昔からそうしている」
実際にはこれが最も危険です。
例えば…
・正社員だけ住宅手当
・正社員だけ皆勤手当て
・パートは賞与ゼロ
・契約社員だけ昇給なし
などについて、「うちは前からこうだから!」のみで運営している場合は要注意です!!
特に現在は求人市場が厳しく、採用応募時、SNS口コミ、退職時トラブルから問題化する
ケースも増加傾向になっています。
トラブルにあわないように、しっかりと対策しましょう。
企業が今すぐ行うべき実務対応
雇用区分を整理する
まず必要なのは、社員の明確な区分とその区分ごとの業務範囲を明確にすることです。
【社員区分】
・正社員
・パート
・契約社員
・嘱託社員
このように社員を区分し、その区分ごとに業務内容や責任の範囲、人事権を使用した異動の範囲などを明確にし、整理する事です。
手当一覧を洗い出す
会社が支給している手当を次の様に一覧化します。
| 手当 | 支給対象 | 支給目的 |
|---|---|---|
| 通勤手当 | 全社員 | 通勤費補填 |
| 住宅手当 | 正社員のみ | 転勤対応 |
| 精皆勤手当 | 正社員のみ | 出勤奨励 |
手当の一覧化をした後は、その手当をなぜ支給しているのかを
説明できる状態にしておく必要があります。
ここで、手当の支給に対して合理的に回答できていなければ、同一労働同一賃金では
問題になり、トラブルになる危険性が高まります!!
就業規則・賃金規程を見直す
実際には、規程と実態が違ったり、手当の定義があいまいであったり、昔の制度が残ったままで
放置されている会社が非常に多くなっています。
2026年は、人材確保の観点からも制度整備の重要性が高まっています。
これを機会にしっかりと規程やルールを見直しましょう!
同一労働同一賃金は「人材定着」の問題でもある
現在の採用市場では、
・待遇差が不透明
・説明がない
・非正規だから評価されない
という状態を放置している職場は、人材流出につながります。
逆に、制度が整備されていて、説明や評価基準が明確な職場は人材定着率が高い傾向があります
同一労働同一賃金は、単なる法対応ではなく、これからの採用・定着戦略として考えてください。
まとめ
現在、同一労働同一賃金は「運用見直しの時代」となっています。
特に中小企業では、
・手当制度
・福利厚生
・賞与
・説明義務
・就業規則
これらの再確認が重要です。
一度、自社の待遇差について、「なぜ違うのか?」をしっかりと確認し
「説明できるのか?」をしっかりと確認しましょう。
その中で「実態と一致しているか?」も併せて確認し、整理をすることをお勧めします。
もし、会社の制度などの見直しをお考えの場合は、こちらからお問い合わせください!!
リンク:厚生労働省_同一労働同一賃金ガイドライン
リンク:厚生労働省_同一労働同一賃金特集ページ
リンク:厚生労働省_働き方改革特設サイト
