「静かな退職」とは?社会保険労務士が解説する特徴と対策

「静かな退職」とは?社会保険労務士が解説する特徴と対策 従業員対応

最近、「静かな退職」という言葉が広がっています。
どのようなものなのか?
対策方法は無いのかなどを労務管理の専門家である社会保険労務士が解説します。

「静かな退職」とは?

コロナ明け頃からアメリカで流行りはじめ、SNSを通じて知られてきたものです。
「静かな退職」状態とは仕事に対して思い入れや熱意が無くなり、会社には所属しているものの、心理的には会社を離れてしまっている状態のことを言います。
イメージ的には退職が決まり、引継ぎも終わり、有給休暇の消化を控えている社員のような状態です。
会社や業務に対して責任感が欠如してしまい、言われたこと、やらなければいけない事はしているけど、進んで改善などはせず、自分と会社の間に一線を引いて働いている状態を言います。

「静かな退職」の特徴は?

どのような働き方や状態の人を「静かな退職」というのでしょうか?
簡単な特徴を挙げさせていただきます。
・必要最低限の業務だけを行う
・仕事とプライベートに一線を引く
・仕事に対してやりがいを求めない
・他人の業務の手伝いなどはしない
・向上心が無く、仕事をこなすだけ


この様な状態の従業員を「静かな退職」と言います。

「静かな退職」を放置するデメリット

依頼されている仕事はしているから気にしないという中小企業の社長さんもいるようです。
長期なキャリアプランを用意しない中小企業では問題ないように感じる社長さんもいるようです。
ですが、会社にとって中長期的な問題が発生することがあります。

たとえば生産性の低下が最たるものです。
退職を見据えているような人なので”会社のために”何かアクションを起こしません。
面倒な事からは避け、重い責任から逃げ、安穏と時間を過ごそうとします。
ただ、言われたことを無難にこなすだけの為、業務の速度や制度が低下し
新しいことも生みだせなくなります。

また、同じ職場の人間のモチベーション低下も発生します。
向上心が無くなり、こなすだけの仕事をしていると、一緒に働いている人間にも伝播し他の従業員のモチベーションも下がってしまいます。
更に一緒に働いていると、「静かな退職」状態の従業員の業務が自分に回されてしまい、頑張るだけ損をするという感覚を持ってしまいます。
そうなると職場雰囲気も悪化し、より悪影響を生み出す可能性も増えます。
「静かな退職」でモチベーションがさがっている従業員だけでなく、
周りの従業員まで同じ状態に陥ってしまい、同じように「静かな退職」状態になってしまったり、
本当に退職をしてしまい、会社が立ち行かなくなってしまいかねません.

この様に「静かな退職」を放置すると会社に大きな悪影響が発生します。
放置することなく、しっかりと対策をしましょう。

「静かな退職」への対策法

「静かな退職」には様々な対策法があります。
まず、根本ですが「静かな退職」は本当に悪い物ではありません。
与えられた仕事をこなすのであれば問題はありませんし、仕事とプライベートに一線を引いて対応しているということは、ワークライフバランスに気を使い、仕事に無駄なストレスを持ち込みません。
しっかりと管理することができれば、時間内に業務を完了させることに注力できるため、業務効率の向上も狙えます。

「静かな退職」への対策は大きく分けると2つあります。

1つめは、管理職の育成です。

すでに「静かな退職」状態に陥っている従業員がいる場合は、仕事のキャパシティを考え、
そのキャパシティに合った業務を与えます。
会社に所属している意識は低いですが、給料をもらうために必要最低限の仕事はこなすので、
その人が時間内にこなせる量の業務を振り、完了や進捗を確認、都度声掛けなどを行うことでモチベーションの維持や向上が見込まれます。
本人だけではなく、チーム全体を見回し負担が集中しているメンバーやキツそうな従業員がいないかも併せて確認することで、チームとしての効率を高められます。

2つ目はしっかりとした評価です。

「静かな退職」状態になる原因の一つと言われているのは、頑張っても給料が上がらない事や評価されない事と言われています。
考え方の違いはあるので絶対とは言いませんが、私は会社からの評価は金銭しかありません。

人間関係では尊敬する人に認められたいなどの気持ちで褒めるだけで評価につながることもありますが、会社からの評価となると、共通の価値観である金銭のみでしか評価はできません。
自分がしている業務がどの様になれば自分の給与が上がるのかを明示できれば「静かな退職」状態から脱却し、自分の給与を上げるためにモチベーションを高めることができると思います。
そうなるように評価制度を見直し、自分の努力の評価のされ方を示すことも効果があります。

他にも細かな対策はありますが、この2つが大きな対策だと考えます。

まとめ

「静かな退職」はまだまだ生まれたばかり概念です。
ですが、実際に困っている会社さんは増えてきていると思います。
自分の会社の中で「静かな退職」状態の従業員が発生した時にどのように対応するのか、また「静かな退職」状態の従業員を出さない為にどのように対策をするべきかをしっかりと考えましょう。

リンク:yahooニュース_”静かな退職”当事者に効く働かない理由
リンク:厚生労働省_人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について

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