割増賃金率の引き上げについて~社会保険労務士が解説する割増賃金~

割増賃金率の引き上げについて~社会保険労務士が解説する割増賃金~ 法律

会社は従業員に仕事をさせると、それに応じた給与を支払う必要があります。
この給与は”所定労働時間”働いた時に約束した金額を満額支払います。
しかし、すべての仕事が契約で決められた”所定労働時間内”で終わるとは限りません。
そんな場合、多くの会社では、残業をして仕事を終わらせることになりますが、この残業時間に関して残業代を支払う必要があります。
この残業代を支払う時に”法定労働時間”を超えて働かせていた場合に、通常の給与に上乗せした金額を支払わなければいけません。
これが割増賃金で、上乗せしなければならない割合が法律で決められています。

今回は、2023年4月からすべての企業に広がる、割増賃金率の引きがげについて解説します。

残業代の割増賃金率とは?

労働時間には”所定労働時間””法定労働時間”があります。
簡単に解説すると、”所定労働時間”は会社が決めた総労働時間
”法定労働時間”とは法律で定められた労働時間の上限です。
”所定労働時間”は従業員ごとに決められていて、法定労働時間以内で決定されます。
”法定労働時間”とは1日8時間、1週間40時間です。

どちらの時間を超えても会社は残業代を支払わなければいけませんが、割増賃金は”法定労働時間”を超えて働いた時に上乗せして支払わなければいけません。
この上乗せする金額は法律で決められていて、25%アップで支払う必要があります。
これが残業代の割増賃金率となります。

割増賃金率の猶予とは

この割暗視賃金率は通常25%アップで法定労働時間を超えて労働した時間が月60時間を超えると、50%アップで支払わなければいけません。
ですが、資金に余裕があり体力のある大企業であればすぐに対応できますが、資金力、体力ともに足りない中小企業では、割増賃金を支払うことで倒産してしまうかもしれません。
そうならない様、社内の働き方を整える猶予が与えられました。

この猶予が2023年3月31日までとなっており、4月から中小企業も割増賃金率50%が適用されるようになります。

割増賃金率引き上げに対応するための対応法

労働時間をしっかりと把握する。

そもそも労働時間がわからなければ割増賃金の計算もできません。
今、タイムカードなどで勤怠管理をしていない会社さんもあるかもしれませんが、まずは正しい労働時間を把握しましょう。

月60時間超の残業が発生した時の対処法を決める

月60時間を超えると50%の割増賃金を払わなければいけなくなりますが、これを支払う事が厳しい会社さんもあると思います。
そのための対処法として、給与を支払う代わりに休暇を与える方法も許されています。

休暇を与えるというということは、人が足りなくなるため、問題の解決にはなりませんが、金銭的な問題の解決にはつながります。
この代替休暇制度を導入するかを導入するかを検討してください。

残業時間を減らすための対策を考える。

そもそも割増賃金率が変わっても、月の残業時間が少なくなれば金銭的な負担は減ります。
今ある業務を整理し、業務を効率化することで残業時間を減らせるように準備をしましょう。

就業規則の見直し

ここまでに挙げてきた代替休暇や割増賃金率の変更は就業規則の変更が必須になります。
今ある就業規則を見直し、制度改正に対応できるように準備をしましょう。

さいごに

残業時間が増え割増賃金を支払う事は会社にとって大きな負担になります。
また、労働時間を正しく管理していない会社にとって、タイムカードの導入や労働時間を正しく管理することがマイナスに感じるかもしれません。
もしかしたら、労働時間を管理しなければ残業が無いと考えている会社さんがいるのかもしれません。

そんなことはありません。
むしろ、労働時間をしっかり管理せず、残業代を支払っていない状態は会社にとってとても危険な状態と言えます。

これからの法律の改正に対応し、今後も会社を存続させるためには、しっかりと対応しましょう。

もし、対応方法がわからない方はこちらからご相談ください。
メールでの相談でしたら、365日いつでも可能です!!

リンク:厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。」
リンク:厚生労働省_働き方改革特設サイト
こちらも参考にしてください。
リンク:割増賃金率引き上げ対策

タイトルとURLをコピーしました