2025年5月31日、年金制度の持続可能性と公平性を高めることを目的とした
「年金制度改革法案」が衆議院を通過しました。
本法案は、高齢化社会への対応や働き方の多様化に即した重要な制度見直しを含んでおり、
企業実務にも少なからぬ影響が及びます。
今回は年金の専門家である社会保険労務士が改正内容の概要と
今後の対応に関するポイントを解説します。

社会保険適用拡大
【改正内容】
厚生年金保険および健康保険の適用対象が拡大され、一定規模以下の中小企業でも週所定労働時間が
短いパート・アルバイト社員が新たに社会保険加入対象となる見込みです。
【企業への影響】
・社会保険料の事業主負担が発生
・社員説明や同意取得など、制度変更への社内対応が必要
・人件費管理の見直しが求められる場合あり
在職老齢年金制度の緩和
【改正内容】
年金受給者が就労を継続した場合でも、年金が減額されにくい制度へ見直しされます。
【企業への影響】
・高齢社員の継続雇用に対するインセンティブが向上
・60歳以降の人材活用戦略や再雇用制度の再設計を検討する機会
遺族年金制度の見直し
【改正内容】
遺族厚生年金の性別による不均衡が是正され、子のある遺族基礎年金の給付対象が拡大される。
【企業への影響】
直接的な企業負担はないが、福利厚生制度や労務管理上の支援体制見直しの可能性があり。
標準報酬月額上限の引上げ
【改正内容】
厚生年金保険の標準報酬月額の上限が段階駅に引き上げられ、高所得者の保険料負担・将来年金額が見直されます。
【企業への影響】
・一部役員や高所得専門職の報酬設計に影響
・社会保険料の計算見直しと給与システムの調整が必要となる可能性
私的年金制度の拡充(iDeCo・企業型DC)
【改正内容】
確定拠出年金制度の加入可能年齢の拡大や企業型DCの拠出限度額も見直される。
【企業への影響】
・福利厚生としての年金制度の導入・拡充の検討材料に
・高齢社員の退職後資金形成を支援する制度設計の一環として有効
まとめ~企業が留意すべき実務対応~
本改正は、企業の人事・労務・財務の各領域に横断的な影響をおよぼす可能性があります。
適用拡大への対応準備に加え、社内規程・就業規則の見直しや社員説明会の実施など、
計画的な準備が求められます。
→当事務所では、企業の困ったを解決するためのサポートをご用意しています。
・社会保険適用拡大へのアドバイス
・高齢者雇用戦略の見直し支援
・確定拠出年金制度の導入支援
・年金制度改正に伴う社内説明資料の作成 など
ご相談は随時承っています。
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リンク:厚生労働省_年金制度改正法案を国会に提出しました。
リンク:yahooニュース_自民、年金法案13日成立へ協議要請