2026年に予定されている労働関係法改正をまとめています。
まだ先の改正ですが、何を気を付けるべきなのかを
労働関係法令の専門家である社会保険労務士が解説します。

労働基準法の改正(2026年予定)
連続勤務の上限規制(14日以上の連続勤務禁止)
今は4週間を通じて4日間の休みを義務付けています。
これだけを守ると理論上、最大48日間の連続勤務が可能となります。
しかし、2週間以上の連続勤務は労災リスクと関連が高くなるとし
法改正後は14日を超える連続勤務を禁止する方向で検討されています。
法定休日の明確化義務
法改正されると、会社は法定休日を事前に特定することが義務になります。
今の就業規則などでは休みのうち4日間を法定休日にするという規定でも
問題ないとされていますが、今後はこの表現ではダメになってしまい
休日の「どれが法定休日か」を明確にしなければならなくなります。
勤務間インターバルの義務化
社員が休息をとるための勤務間インターバル(一定時間の休息)の導入が
義務化される見込みとなっています。
退社から出社までの時間を一定時間空けなければいけなくなります。
残業をした翌日は朝の出社を遅くするなどの対応を求められるかもしれません。
有給取得時の賃金算定方法見直し
有給休暇使用時の給与は、現在いくつかの選択肢から会社が決定し
就業規則に規定することで選択できますが
法改正されると「所定労働時間働いた場合と同等の通常賃金方式」
の適用が基本となります。
割増賃金の通算廃止(副業・兼業者)
あまり知られていませんが、副業をしていると本業と副業の労働時間を
通算して割増賃金を計算します。
この割増賃金の通算規定が廃止され、割増賃金の計算は各事業主ごとに
行う形へ法改正されます。
これまでも、実務上副業の勤務状態を正確に把握することはできず
自分の会社だけで残業代の計算をしていることが多かったかと思いますが
これが法律上追認された形になります。
労働安全衛生法の改正(2026年4月施行)
こちらは予定ではなく、2026年4月1日から順次施行されます。
対応をしなけれいけないので、しっかりと準備しましょう。
・職場のメンタルヘルス対策強化
50人未満の会社でもストレスチェック実施が義務化されます。
・化学物質の管理強化
新たな表示・SDS交付対象物質を拡大(2026年4月から)
石綿障害予防規則改正(2026年1月)
有機溶剤中毒予防規則見直し(2026年10月)
新規化学物質の電子申請義務化(2026年7月)
個人事業主も含めた労働災害対策の強化
ボイラー・クレーン等の製造審査・検査制度の拡充
高年齢労働者への防災措置の努力義務化
以上が労働安全衛生法の改正内容です
会社で社員を雇い安全に働いてもらうためには必要な対応になります。
しっかりと確認しましょう。
公益通報者保護法(ホイッスルブロワー法)の改正(2026年中施行)
公益通報者(内部通報者)への不当解雇や懲戒への罰則規定などを強化する改正となり、2026年中に施行される見通しとなっています。
労働施策総合推進法の改正(カスタマーハラスメント対応義務)
カスハラ対策(カスタマーハラスメント対策)が企業に義務化され、2026年10月ごろまでに施行される予定です。企業は予防策・対応体制を整備する必要があります。
会社が準備をしなければいけないもの
就業規則の改定
連続勤務禁止・勤務間インターバル導入・有給休暇取得時の賃金や休日特定など
法改正への対応を準備する。
安全衛生体制の整備
ストレスチェックの対応準備などを行う。
社内の手順やマニュアルの見直し
社内の通報対応フローやカスハラ対策マニュアルの整備
このような対応が必要だと言われています。
これまでのルールを改定しなければいけないため、しっかりと準備をしましょう。
最後に
2026年は働き方・健康・ハラスメント・通報制度などに関する重要な法改正が一斉に行われる予定となっています。会社は就業規則や社内体制、教育の整備を早めに進めることがリスク回避とコンプライアンス確保の上で不可欠となっています。
不明点や具体的な対応方法はお問い合わせください。