雇用保険料の引き上げについて~社労士が解説する雇用保険料~

雇用保険料の引き上げについて~社労士が解説する雇用保険料~ 雇用保険

令和4年4月1日から雇用保険料率が引き上げられます。
さらに、令和4年10月1日からは、もう一回保険料の引き上げが予定されており、
1年間で2回も保険料上げられることとなっております。

年度の途中で保険料が引き上げられることは珍しく、しっかりと対応しておかないと、
労働保険料の年度更新の時に会社が余計に保険料を支払ったり、従業員から保険料を回収できなかったりすることもあり得ますので、しっかりと確認いただき、対応できるよう準備してください。

雇用保険料とは?

そもそも雇用保険料とは、労働保険の一つである”雇用保険”の保険料です。
雇用保険に加入している従業員と、雇っている会社が、共に負担し、失業保険や育児休業給付などの給付に使用される保険料です。
雇用保険は、週20時間以上会社で働き1ヵ月以上継続勤務する学生以外の人が加入となる保険で、正社員やパートさん、フリーターさんなど、働くすべての人に関わりのある保険なので、従業員を雇っている会社は全て関係するといえる保険です。

つまり、従業員を雇っているすべての会社が支払う必要がある保険料です。

なぜ保険料が引き上げが必要なのか?

雇用保険料が変更になることはこれまで何度もありましたが、
年度の途中で保険料が上がることは本当に珍しいことです。
なぜ、保険料をこれほど上げるのかというと、新型コロナウイルス感染症の対策で、雇用保険給付が沢山の会社や従業員に行われたからです。
主な給付は次の二つでした。
・雇用調整助成金
コロナの影響で会社が休業などした際に、解雇をしないで休業させ、休業補償を支払った場合
休業補償を最大100%、国が保証する助成金です。

・失業手当の基本手当給付日数の延長
コロナの影響により、失業手当の期間内に採用されないことが想定されたので、基本手当の受給期間を最長60日間分延長し、就職の機会を増やすために行われた政策です。

この様に、働いている人の雇用を守り、万が一失業してしまった場合でも、失業手当で支えようとした結果、給付が著しく増加し、保険料を挙げる必要が出てしまったとのことです。

保険料はどれくらい上がるのか?

令和4年度の雇用保険料はこちら(リンク先:厚生労働省 雇用保険料率について)

保険料率は記載されている通りですが、簡単に案内させていただくと次のようになります。

令和4年4月から
会社負担額は6.5/1000へ上昇(約1.1倍)
令和4年10月から
会社負担額が8.5/1000へ(約1.4倍)
従業員負担額が5/1000へ(約1.6倍)上昇となります。

月給30万円の方の保険料を参考に説明すると
【これまで】
会 社負担保険料:1,800円
従業員負担保険料:  900円
【令和4年4月から】
会 社負担保険料:1,950円
従業員負担保険料:  900円
【令和4年10月から】
会 社負担保険料:2,550円
従業員負担保険料:1,500円

かなりの上昇になるのがお分かりになるかと思います。
会社として保険料計算を間違え、従業員から回収できていなければ、さらに大きな金額を会社が負担することとなります。
計算を間違えず、しっかりと控除してください。

保険料計算は慎重に、間違えないように!!

雇用保険を含む労働保険料は、毎年6月1日から7月10日までの間に、”年度更新”という手続きで保険料を決定し、国に納付します。
しかし、雇用保険料は、毎月の給与から控除します。
つまり、従業員負担分の雇用保険料を会社が従業員から預かり、年度更新まで会社が保管し、会社負担分と合わせて納付するということです。

毎月の従業員からの保険料徴収を間違えると、後で支払ってもらう必要が出てしまったり、場合によっては会社が保険料を負担しなければいけなくなったりしてしまいます。

雇用保険料は高額になりがちですので、間違えてしまうと、会社が損害を受けてしまいかねません。間違えない様、しっかりと計算してください。

最後に

雇用保険料は、保険料率が高めで、会社にとって大きな負担になる保険料の一つです。
まだまだ新型コロナウイルス感染症のダメージから抜け切れていない会社にとっては、普段よりも大きな負担になってしまうかもしれません。
令和4年10月からの保険料上昇は従業員にも降りかかり、働く人すべてに関わる増税となります。
そんな中、計算間違いをしてしまい、従業員分を会社が負担することになったり、従業員に必要以上の金額を支払わせたりすると、大きなトラブルや損害につながりかねません。
気を付けて、しっかりと対応してください。

保険料のことや雇用保険のことなど、わからない事や疑問点がありましたら、ご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました