国民健康保険料(税)と健康保険料の違いについて

国民健康保険料(税)と健康保険料の違いについて ブログ

日本は、国民皆保険となっており、日本に住民票がある人は全て、健康保険に加入し、20歳以上になると年金に加入することになっています。
会社に入社して働いていると、社会保険の健康保険に加入になりますが、会社を退職したり、フリーランスで働いていると、国民健康保険に加入となり、国民健康保険証が発行されます。

皆さんはその時の保険料を計算したことはありますか?
社会保険労務士として会社の入退社をお手伝いしているとよく「社会保険の健康保険と国民健康保険はどっちがい安いの?」と質問されることがあります。

今回は、この二つの保険料の違いを解説します。

健康保険と国民健康保険の違い

会社で加入する健康保険と個人(世帯)で加入する国民健康保険ですが、
受けられるサービスはほぼ同じです。

どちらも、病院の窓口で保険証を提出することで、料金が3割になります。
入院などで自己負担が大きくなってしまった場合は高額療養費制度があり、一定の金額以上は負担しなくても良くなる制度や、出産育児一時金という、出産時にもらえるお金も支給されます。

受けられるサービスで違うのは、仕事を休んでしまった時の給与補填の意味合いが強い
傷病手当金出産手当金の支給が国民健康保険では受けられないくらいです。

受けられるサービスにはほとんど差が無い2つの保険ですが、保険料は大きく違います。
健康保険は、会社と従業員が保険料を折半して支払いますが、国民健康保険は個人で全額支払います。
単純に考えると、健康保険より国民健康保険の方が保険料が倍高くなります。

更に、扶養家族が増えるとその分保険料が増えるのも国民健康保険の方なので、給付がほぼ同じである健康保険と国民健康保険なら、金額的に考えれば健康保険の方が良いといえます。

保険料の計算方法の違い

健康保険と国民健康保険では保険料の計算方法が大きく違います。
健康保険の保険料は、給与金額の月額によって決定されます。
標準報酬月額と言われる金額で保険料が決まり、毎月の給与から天引きされます。

国民健康保険では、保険料の計算方法がいくつかあり、どの計算方法を選ぶかは市町村に任せられています。そのため、正確な保険料を確認するためには、自分の住民票がある市役所にて保険料を確認してもらう必要かあります。

簡単に解説すると、前年度の年収に応じて決まる部分や後期高齢者支援部分や様々な名目で計算された保険料を合算し、最終的に算出されたものが国民健康保険の保険料となります。
こちらは、世帯に所属する人間が増えることで保険料が増えたりするので、高額な保険料になります。

この様に健康保険と国民健康保険では保険料の計算で大きな違いがあります。

国民健康保険料(税)の保険料の計算方法

国民健康保険料(税)の計算方法は、各市町村にゆだねられています。
複数の選択肢があり、どれを選んでもいいようになっています。
そのため、お住いの市区町村によって計算方法が違い、同じ年収でも住む場所で保険料が違います。
今回は、当事務所がある”埼玉県和光市”の国民健康保険料(税)の計算方法を解説します。

和光市のホームページに記載されているモデルケースを使用し解説します。
リンク:和光市/国民健康保険税について

(モデルケース)
給 与 所 得:600万円
固定資産税額 :10万円
世 帯 人 数:4人

(国民健康保険税額計算)
給与所得4,360,000 - 430,000(基礎控除) = 3,930,000

(医療給付費分)
所得割:3,930,000×7.2%=282,960 ※所得に税率をかけたもの
資産割:100,000×1.2%=12,000   ※固定資産税に税率をかけたもの
均等割:18,000×4名=72,000    ※決められt金額に世帯人数をかけたもの
平等割:18,000          ※すべての世帯に加算される金額
合 計:384,900(100円未満切り捨て)

(後期高齢者支援金分)
所得割:3,930,000×2.2%=86,460 ※所得に税率をかけたもの
均等割:9,000×4名=36,000    ※決められた金額に税率をかけたもの
合 計:122,400(100円未満切り捨て)

(介護納付分)
所得割:3,930,000×1.7%=66,810 ※所得に税率をかけたもの
均等割:9,000×2名=18,000    ※決められた金額に40歳以上の人数をかける
合 計:84,800(100円未満切り捨て)

医療給付分、後期高齢者支援分、介護納付分を光景した者が1年分の国民健康保険料(税)となります。
合 計:592,100

なお、このモデルケースの方が健康保険に加入している場合の保険料は、次のようになります。

標準報酬月額:500,000   ※年収を12で割ったもの
健康保険料 :28,375    ※労働者負担分のみ
年間の保険料:340,500 ※労働者負担分のみ

この様に、全く同じ年収で計算すると、40%以上健康保険の方が安くなります。

退職後にどちらを選ぶか悩んだ時の解決法

健康保険か国民健康保険かを選択する必要があるのは、基本的には退職の時になります。
退職時、国民健康保険を選ぶのか、健康保険の任意加入を選ぶのかを選択が必要ですが、その時に悩んでしまった際、次のように考えて下さい。

まず、お住いの市役所にて国民健康保険料(税)を確認してください。
その次に、ご自分の毎月支払っている健康保険料を24倍していただき、この二つを比べて下さい。

実はこれ以外にも、健康保険を選択するメリットはあります。
ですが、保険料金額を比べると、直近にかかる保険料の差額がわかり、負担の軽い方を選択できます。
考える時間が短く、どうしても決められない場合は、保険料負担を比べて選択するのが一番わかりやすいかと思うので、選択の際の一助にしてみてください。

もし余裕があれば、どちらを選択するのがいいのかを専門家や、行政に確認してみてください。

リンク:厚生労働省_国民年金保険制度

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