社会保険の適用拡大~これから拡大される被用者保険について~

社会保険の適用拡大~これから拡大される被用者保険について~ 法律

今、社会保険に加入が必要な人が増えています。
会社は、雇用している従業員の中で一定時間以上の労働時間がある人を
社会保険に加入させなければいけません。

この「一定以上の労働時間」が徐々に減ってきています。
つまり、社会保険に加入する人が増えるように法改正などが行われています。

今後の法改正の為に専門家が行った会議で、今後の年金制度の方向性が話われました。
その内容を簡単に解説すると
・会社の規模要件の緩和
・労働時間数の緩和
・個人事業主(フリーランス)の社会保険加入

要するに社会保険に加入する人を増やし、働いているすべての人が厚生年金に加入し
健康保険も社会保険の健康保険に加入することを目指しています。

どの様に変更されるのか?
会社はどの様な準備が必要なのか?
社会保険の専門家である社会保険労務士が解説します。

社会保険の加入要件

社会保険に加入する必要があるのは、次の要件を満たした場合です。
・正社員の75%以上の週の所定労働時間がある。(通常週30時間以上)
・常時雇用されている場合(期間の定めがない場合含む)


さらにこの条件が拡大され、さらに労働時間が短い人も加入するようになりました。
短時間の方の社会保険加入の要件は次になります。(常時雇用101人以上)
・週の労働時間が20時間以上
・月の給与が88,000円以上
・2カ月以上継続勤務
・学生以外

※2024年10月からは常時雇用51人以上になります。)

これらの条件を満たした従業員を会社は社会保険に加入させなければいけません。

今後の法律改正の方向性

先日「社会保障審議会年金部会」の会議で、今後どのように改正していくべきかを
話し合われました。
その資料は厚生労働省のHPで公開されています。

簡単に解説すると、すべての働く人が社会保険に加入することを目標としています。
どの様な会社で働いていても社会保険に入り
何時間の労働でも社会保険に加入できるようにし
フリーランスの方でも、実態が労働者なら社会保険に加入する

この様な事を目的にしているように感じます。
また、現在の3号被保険者(社会保険加入者の配偶者)の保険料負担も考えているのではと
感じてしまいます。

これまでの価値観では、社会保険に加入させることを躊躇する会社さんもあるでしょう。
しかし、法律が改正され、当たり前になったら、対応できない会社は行政から
指導を受けたり、罰則を受けたりしてしまいます


さらに社会保険加入が当たり前になった時、従業員さんに選ばれない企業になります。
そのような事にならない様、今のうちからしっかりと準備しましょう。

社会保険の加入拡大の対策法

これからは正社員だろうとパートだろうとアルバイトだろうと、社会保険に加入させる必要が
出てくるかもしれません。
その時に対応するための準備を会社はした方が良いでしょう。

前提として、法律に違反し、社会保険に加入させず雇うことはしてはいけません。
「法律だから従え」で片づけるつもりはありませんが、法律違反が発覚した時のペナルティを
考えると、違反するメリットはありません。

逆に法律を守らない会社、従業員を大事にしない会社というような風評がたつデメリットの
方が大きいでしょう。
ですので、法律を守り、社会保険の加入拡大があった時にはしっかりと対応をしましょう。

そのうえで、会社の対策として最初に契約をしっかり見直し、締結しましょう。
これが最初に行うべき対策です。

そんな事か…と思う人もいるかもしれませんが、日本の会社で、特に中小企業で
契約書をしっかりと取り交わす習慣がありません。
それだけで、会社にはかなり不利な状況なので、それを解消しましょう。

そのうえで、会社に合った方法を検討する必要があります。
ぜひ、一度ご相談ください。

最後に

これから社会保険の加入条件は緩和されていき、たくさんの人が社会保険に加入する必要が
でてくると思います。
その時に、法律を無視し加入させない事を選ぶのではなく
しっかりと法律を守り、会社にとってプラスになるような従業員を
雇っていけるようにしていきましょう。

意外と複雑な制度ですので、わからない事はぜひご相談ください。

リンク:厚生労働省_第4回社会保障審議会年金部会
リンク:厚生労働省_社会保険適用拡大特設サイト

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