障害年金徹底解説~社労士が教える年金制度~

障害年金徹底解説~社労士が教える年金制度~ 年金

普通に生活をしいると、ケガをしたり病気になったり、いろいろなトラブルが起きます。
ケガや病気がしっかりと治り、元に戻れば問題ないですが、ちゃんと元の状態まで治らず、
これまでと同じ生活が遅れ亡くなったり、仕事ができなくなることも多々あります。
そんな時に、障害年金を請求することができます。

もしもの時、生活の助けになる年金ですが、制度が難しく、わかりづらいと思います。
障害年金とはどんな制度なのか、貰うためにはどうすればいいのかを簡単に解説します。

そもそも年金とは?

年金とは、日本に住んでいるすべての人が加入している”保険”制度で、
現在働いている方(収入がある方)が支払った保険料を仕送りのように年金給付に充てるという
”世代間の賦課方式”で運営されている制度です。

”保険”ですので、支給の要件に該当すれば、年金として給付されます。
基準はいろいろありますが、例えば…
一定の年齢になった際に支給される老齢年金
亡くなってしまった場合、遺族の方の生活のために支給される遺族年金
そして、一定の障害を負ってしまった際に支給される障害年金
この3種類が世間一般的に年金と言われ、国が管轄しているので公的年金と言われています。

また、社会保険加入済みの会社で勤務している方が加入する厚生年金
それ以外の方が加入している国民年金の2種類がそれぞれの年金にあります。

表にすると以下のようになります。

                                    出典:厚生労働省 ライフコース別にみた公的年金の保障

この様に、すべての方に支給される可能性がある年金ですが、制度が難しく、よくわかっている方は
ほとんどいません。
そして、年金は請求をしないともらえない物なので、年金をもらえる条件が揃ったら、
かならず請求するようにしてください。

障害年金はどんな年金?

障害年金をもらうためには、次の要件を満たす必要があります。
この要件を満たしていないと、絶対に障害年金を申請することができません。

年金の被保険者である期間に初診日※1があること

1初診日:障害の原因になった疾病やケガを診てもらうために、初めて病院へ行った日

障害認定日※2に一定の障害状態になっていること

※2障害認定日:初診日から1年6ヵ月経過した日か、疾病やケガがこれ以上良くならないと
       診断された日のどちらか早い方

初診日の前日時点で、初診日がある月の前々月までに一定以上の被保険者期間があること※3

※3被保険者期間:年金の保険料を納付している期間が免除も併せて3分の2以上あるか、
        または直近1年間に未納期間が無いかどちらかが必要

この3つの要件を満たすことで年金を請求でき、審査の結果支給決定されれば年金が支給されます。
また、初診日がある月に社会保険に加入していれば障害厚生年金も併せて請求することができ、
初診日が20歳前の被保険者期間でなかったとしても、障害基礎年金の申請はできます。

障害年金の金額

障害年金の支給決定がされると偶数月の15日に支給されますが、金額は以下の通りになります。

障害基礎年金の金額

1   級:972,250円 + 子の加算額
2   級:777,800円 + 子の加算額
子の加算額:2人まで 1人につき223,800円
      3人目以降1人につき74,600円
※子の加算額は生計維持(扶養)をしている子がいる時に加算されます。

障害厚生年金の金額

1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額
2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
3級:報酬比例の年金額 最低保証額(583,400円)

※配偶者の加給年金は扶養中の65歳未満の配偶者がいる場合に加算され、金額は223,800円です。

※報酬比例の年金額は年金を請求した方の月収や被保険者期間にて計算されるものです。
 また、被保険者期間が300月ない場合は300月として計算できます。

ちなみに社会保険に加入している方が2級以上になった場合は、障害厚生年金と障害厚生年金の両方が支給されるので、二つを足した金額が振り込まれます。

障害年金をもらうために必要な書類は?

障害年金の申請要件にすべて当てはまると年金の請求申請ができます。
書類をそろえて年金事務所へ提出すれば審査を始めることができるが、普段年金の書類を作っていない人には難しく感じるかもしれません。
それぞれに気を付けるところ併せて解説します。

受診状況等証明書

年金受給要件の中にある、初診日の証明のための書類です。

はじめて受診した病院で書いてもらう必要があります。
はじめて受診した日をカルテ通りに書いてもらえばいいので難しくないように感じますが、
実は、問題になることが多い書類です。

なぜかというと、今通院している病院と初診日がある病院が同じならいいのですが、
症状の改善が無かったり、引っ越したりなどの理由で、今の病院ではない事が多いと思います。
初めて通院してから10年以上経っている為、カルテが保存されていなかったり、病院自体が無かったり、当時の先生が退職してしまったりしていることがあるからです。

そうなった場合は、すぐにご相談ください。

専門家でなければ対処できない場合も想定されますので、ぜひご相談ください。

診断書

病院の先生に書いてもらう書類で、障害年金申請で最も重要な書類です。
診断書に書かれている内容で、年金がもらえるかもらえないかを決定するほど重要と言われます。

年金を申請する時期により、必要な枚数が変わる書類で、用意には少し知識が必要です。
また、診断書の内容で年金が支給されるかがほぼ決まるため、先生としっかりコミュニケーションをとっていないと、実際の症状より軽く書かれてしまい、支給されなくなってしまったり、慣れていない先生が、普段病院で書く診断書と同じように書くものと勘違いし、支給されなかったりしてしまいます。

この診断書は、病気の症状を書くものではなく、病気やケガの結果、日常生活がどの程度困るかを書くものなので、その辺を理解されていない先生が書くと、しっかりと今の症状を表したものが出来上がらず年金が支給されないことの減員になります。

病歴・就労状況等申立書

年金請求の中で、唯一、請求者本人が書き、申し立てをすることができる書類です。

今の病気やケガで、どれだけ日常生活が困っているかを申し立てすることで、診断書を補助し、年金を支給するかを審査する方にしっかりと困っている事実を申し立てる重要な書類です。

診断書の補助書類ですので、診断書の内容と矛盾しない様、しかし、診断書には書けない日常生活の困っている事をしっかりと書く必要があるので、慎重に作成をする必要があります。

申請の際、最も困る物で、よくご相談される書類でもあります。
ご不明点がある場合は、ぜひお問い合わせください。

年金請求書

日本年金機構のホームページにもデータでダウンロードできますが、年事務所の窓口に行けば冊子になっている申請書を貰うことができます。
どの年金を請求するかで書類がすべて違うので、窓口に行って、どの年金の請求をするのかを伝え、準備して正しい書類をもらうようにしましょう。

内容は、氏名・誕生日・住所と言った個人情報や疾病の名前など書くものですが、見本通り記載することで問題なく完成させることができます。

その他必要書類

本人や扶養している事の確認などに他にも書類が必要になる場合があります。
これより下の書類は、人により必要不必要がありますので、年金事務所への問い合わせ
または、専門家への問い合わせをお勧めいたします。

・戸籍謄本
18歳到達年度末までのお子さんがいる場合に必要です。
・世帯全員の住民票
生計維持関係を確認しますが、マイナンバーを書けば省略できます。
・在学証明書等
お子さんが高校生の場合に必要になります。(学生証で大丈夫です。)
・第三者行為事故状況届等
交通事故などでケガや障害になった場合に必要になります。
・所得証明書
20歳前の障害で年金を請求する場合に必要になります。
・年金加入期間確認通知書
共済組合に加入していた場合必要になります。
・身体障碍者手帳
手帳が発行されている場合は必要になります。

これ以外にも状況によってはほかの書類が必要になります。
また、年金は面接などは無いため、書面だけで、しっかりと相手に伝え、正しく判断してもらう必要があります。

全てをご自分で準備するのは、本当に大変ですので、請求書を提出する前に、年金事務所や専門家へのご相談をしてください。
最寄りの年金事務所はこちらから探して下さい。

まとめ

病気やケガで障害が残ってしまい、生活に困った方に支給される年金ですが、申請s受給ためには
これだけの準備が最低必要になります。

もちろん、ここには文字だけしか書かれていないので、実際に作成したり、書類作成をお願いする場合の労力を考えると、とてつもない負担になると思います。

しかも、せっかく準備しても、診断書の内容が、実際の症状より軽く書かれていたり、
病歴・就労状況等証明書の内容がおかしかったりするだけで、年金が支給されなくなります。

そうすると、準備をし直し、もう一度提出しなければならない為、お金も時間もかかり、より負担が大きくなってしまいます。

もし、今あなたが年金の請求でお困りでしたら、一度年金事務所の相談窓口に行くか
メールで専門家へ相談してください。

一人で作成し準備するには、年金の請求書は難しすぎます。
ぜひ、公的機関や専門家を頼ってください。

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