社会保険労務士が解説する”アルムナイ採用導入ガイド”即戦力を確保する制度設計・就業規則整備・法的リスク対策

社会保険労務士が解説するアルムナイ採用導入ガイド即戦力を確保する制度設計・就業規則整備・法的リスク対策 ブログ

労働力人口の減少や採用単価の上昇、加えてミスマッチによる早期離職の増加
このような環境下で注目されているのが”アルムナイ採用(ブーメラン採用)”です。
アルムナイ(Alumni)とは本来「卒業生」の意味ですが、企業においては「元社員」を指します。2018年以降の働き方改革や転職市場の流動化を背景に、「退職=裏切り」という時代は終わり、
“社外で経験を積んだ人的資本”として再評価する流れが強まっています。
本記事では、社労士の実務視点から
・制度設計の要点
・就業規則との整合性
・同一労働同一賃金との関係
・退職金、有給休暇の取扱い

このような事柄を体系的に解説します。

1.アルムナイ採用の3大メリット

採用コスト削減(採用単価の圧縮)

・求人媒体費不要
・人材紹介料(理論年収30~35%相当)の削減
・内定辞退率の低下


この様な採用に関わるコストやリスクを軽減することができます。
さらに、教育コストや会社内のルールや業務を行う知識を得るためのOJT期間も短縮されます。

カルチャーフィットによる定着率向上

企業文化・評価制度・業務フローを理解しているため、
中途採用で問題となりやすい価値観の不一致が起こりにくいのが特徴です。
入社のタイミングで会社内の様々な情報を理解しているため、ミスマッチが起きづらくなります。

外部経験の還流による組織活性化

他社で得たスキルやネットワークが社内に還流することで
組織の固定化防止・イノベーション創出に寄与します。
自社のみの閉塞したグループでは突破できなかった壁を外部の情報を活用することで
突破・成長し会社の発展を促すこともできます。

【専門解説】制度構築時の4大チェックポイント

アルムナイ採用は、通常の中途採用と同様に以下法令の適用対象です。
・労働基準法
・労働契約法
・パートタイム・有期雇用労働法
・個人情報保護法

制度を導入する際には、このような法律に適合するようチェックをする必要があります。

勤続年数の通算と年次有給休暇

原則は、退職により労働契約は終了となるため、有給休暇は喪失されます。
つまり、有給休暇の起算日は「再入社日」としても問題ありません。
ただし、勤続年数によって金額が増えたり、優遇されるような制度がある場合
その勤続年数をどのように取り扱うのかを決める必要があります。
もし、通算する場合は、特例規定を明文化しなければ不公平感が生じます。
しっかりとルールを整備しましょう。

退職金制度との整合性

退職金制度がある場合、以下の整理が不可欠です。

・退職時に退職金を支給済みの場合  …  再雇用後は新規に勤続年数を算定する場合
・通算する場合           …  年数を通算し、以前在職中の期間も通算する。


このようなものを曖昧なまま運用すると、後年の退職時に紛争化します。
しっかりと明文化しルールを決めましょう。

給与決定の透明化(同一労働同一賃金)

再入社者が現職社員より高待遇で復帰する場合は次の様な項目を決める必要があります。
・合理的理由の説明
・職務内容・責任範囲の明確化
・職務等級制度との整合


再入社の際、現在社内にいる同格の社員や同じ業務を行う社員との給与差が出る場合、同一労働同一賃金の観点からみて問題となる可能性があります。
退職時給与基準ではなく、現在の市場価値評価を基準にすることが合理的だと言えます。

試用期間の設定可否

元社員でも、社内制度変更やコンプライアンス体制の強化さらに職務内容の変化がある事が
想定されます。そのような場合は、試用期間を設けても合理性があると判断されます。
ただし、解雇権濫用法理(労契法16条)との関係上、通常の新卒より厳格な判断が求められます。
試用期間中は解雇に関する判断が多少軽くなりますが、アルムナイ採用の場合
通常の社員と同じように判断されることが多いと思います。

制度導入5ステップ(実務フロー)

ステップ①…対象者選定基準の設定
どの退職者をアルムナイ採用の対象にするかの設定を考える。

ステップ②…就業規則の改定
アルムナイ採用(カムバック採用)規定の策定や周知を行う。

ステップ③…退職時の面談強化
「いつでも戻ってきてほしい」という意思表示を行うなど
戻りやすい環境を作ることも考慮する。

ステップ④…アルムナイ名簿の作成
退職者情報をデータベース化し、関係性を継続させる。
※名簿を作成する際には個人情報保護法に対応できるよう、退職時に同意書に署名をもらう。

ステップ⑤…定期的な接触
会社近況のアップデートやカジュアルな面談を行い、関係がなくならないようにする。

2026年以降の展望|人的資本経営との接続

人的資本経営の観点では、
・離職率
・再雇用率
・タレントプールの有無
このような事柄が求められていると言えます。

これは、企業に「人材をいかに有効活用しているか」という情報の開示を希望されていると言えます。退職者と良好な関係を築き、再雇用を促進している事実は「選ばれる企業」としての会社ブランド力向上に直結します。
アルムナイ採用は単なる欠員補充ではなく、戦略的人材循環モデルへの転換し
持続可能な経営の鍵となります。

まとめ

アルムナイ採用は極めて有効な採用戦略ですが、
・退職金規程
・賃金体系
・等級制度
・有期契約管理
このような社内ルールと社員の認識にズレがあると労務紛争に発展します。
制度導入前に必ずリーガルチェックを行い、

【社労士によるサポート内容】

・カムバック制度設計
・就業規則改定
・同一労働同一賃金診断
・退職金制度整合性チェック
・人事制度再構築支援


人事労務の専門家である社会保険労務士だから、このようなことで会社をサポートできます。
「あの優秀な社員に、もう一度活躍してほしい」
その想いを、法的に安全な制度設計で実現できるようお手伝いをさせていただきます。

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リンク:yahooニュース_「アルムナイ職員採用」創設、新たな道歩む元職員歓迎
リンク:及川社会保険労務士事務所_社労士が解説する就業規則の作り方

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