従業員を雇用している会社には、たくさんの義務が課せられます。
例えば、社会保険や労働保険の手続きや、毎年の健康診断などがあります。
これに加えて、一定規模以上の会社には、従業員のストレスに関するチェックも必要になっています。
いわゆるストレスチェックと言われるものです。
このストレスチェックを行わなければならない会社の規模が2026年4月から引き下げられます。
会社は、どのようなことをしなければならないのか?
準備や費用はどの程度かかるのか?
労務管理の専門家である社会保険労務士が解説します。

ストレスチェックの義務化で何が変わるのか?
これまでストレスチェック制度は、常時50人以上の労働者を使用する事業場のみが義務対象でした。
しかし、法改正が入ったため2028年5月までに50人未満の事業場についても、原則として義務化される予定です。
これにより、
- 従業員数が50人未満の中小企業
- 家族経営に近い小規模企業
- これまでメンタルヘルス対策に取り組んでいなかった事業所
このような会社でも、制度対応が必要になります。
ストレスチェックとは?
ストレスチェックとは、労働者の心理的な負担の程度を把握し、メンタル不調を未然に防ぐための制度です。
主な流れは次のとおりです。
- 労働者に質問票(アンケート)を実施
- 医師等が結果を評価
- 高ストレス者へ医師面接の案内
- 集団分析を行い、職場環境改善につなげる
※ 結果を事業主が個別に把握することは禁止されています。
小規模事業者が特に注意すべきポイント
「簡単なアンケート」では済まない
ストレスチェックは、実施者(医師・保健師等)の関与や結果の適切な管理が求められます。
インターネットの無料ツールを使えばよい、というものではありません。
人事担当や社長が結果を見てはいけない
会社がストレスチェックを実施し、運用するのですが、会社の人事担当者や社長が
ストレスチェックの結果を自己判断で閲覧することができません。
これは労働安全衛生法にて定められていて
社長や人事担当者が、個人結果を本人の同意なく閲覧すると法令違反となります。
就業規則・社内ルールの整備が必要
ストレスチェックの実施にあたっては、
実施方法や面接指導の申出方法、不利益取扱いの禁止など
社内で明確にしておくことが重要です。
就業規則や規程の未整備は、トラブルの原因になります。
そのようなことが起こらないよう、実施ルールを作成し、運用できるよう
会社が準備する必要があります。
産業医は必要?外注?社労士?よくある質問
Q.産業医と契約しないとダメですか?
👉 必ずしも産業医契約は必要ありません。
産業医とは、労働者が健康かつ快適な環境で働けるよう、専門的な医学知識に基づいて
指導・助言を行う医師です。
会社が一定以上の規模(常時50人以上の労働者を使用する事業場)では
産業医の選任契約が必須となります。
ストレスチェックを行う際には、社員さんが出してきたものを診断する必要があり
これを行うのが、一般的には産業医とされています。
ルール通りに運用しようとすると、すべての会社で産業医契約がそうですが
実は、それ以外の方法もあります。
例えば…
・外部機関への委託
・医師とのスポット契約
など、さまざまの方法が選べます。
ストレスチェックの規模が拡大され、外部機関もこれに対応するよう様々なプランを用意すると
思われます。
会社に合った方法で準備をすすめましょう。
Q.費用はどのくらいかかる?
実施方法によって幅がありますが、年間数万円〜数十万円程度が一般的な目安です。
「安く済ませる」よりも「トラブルを防ぐ」視点が重要です。
社員さんがメンタル的に弱ってしまったり、職場で問題を起こさないよう
初期段階で発見するために必要なものですので、安かろう悪かろうではなく
活用できるようなサービスを利用ください。
未対応の場合のリスク
法律が施行され、義務化されたのちストレスチェック未実施の場合は様々なマイナスがあります。
- 行政指導・是正勧告
- 労災・メンタル不調時の会社責任増大
- 採用・定着面でのマイナス評価
といったリスクが考えられます。
このような指摘や問題が発生した時に
「制度を知らなかった」「準備が間に合わなかった」という理由は通用しません。
そんなことにならないように、前もってしっかり準備しましょう。
今からやるべき準備(チェックリスト)
☑ 実施方法(外注・医師・社労士)を検討
☑ 社内規程・就業規則の整備
☑ 従業員への説明方法の検討
☑ 実施スケジュールの確定
このような準備が必要になります。
対応できるよう、前もってチェックしましょう。
社労士ができるサポート
社会保険労務士は、ストレスチェック制度の設計や規程整備などで対応することができます。
さまざまな規模の会社と契約をしており、ストレスチェックの導入なども経験している
人も多数おります。
その他にも、社員向けの説明資料の作成や外部機関との調整などもできます。
このように、実務面をトータルで支援できます。
「何から始めればいいかわからない」という会社さんもお力になれますので
ぜひ、ご相談ください。
まとめ
ストレスチェック義務化は、小規模事業者にとって“初めての対応”となるケースが大半です。
後回しにすると負担が一気に増えるため、早めの準備が最大のリスク対策となります。
また面倒事が増えたとマイナスなイメージを持つ会社さんもいるかもしれませんが
現在、社員のメンタル不調による急な退職や、職場でのトラブルも多くあります。
このような問題を早い段階で見つけるためには、ストレスチェックは有用です。
ぜひ、新しい制度を前向きに導入し、会社をよりよくしましょう。
ご相談やお問い合わせはこちらから!
リンク:厚生労働省_ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等
リンク:東京労働局_ストレスチェック制度について
